「微笑もて正義をなせ。」

太宰には珍しい、希望に満ちた青春小説。

昭和17年刊行
『正義と微笑』

戦中に執筆された作品。

軍国主義で誰もがピリピリしていて、
微笑みなんぞ浮かべていようものなら張り倒される可能性すらある。

なおかつ、主人公はクリスチャン。

学校や教師·友人に対する批判、自己嫌悪、未来に対する憧憬。
万能感からの挫折、初めて見えてくる現実の世界。

受験に失敗した主人公は絶望の中、役者になる夢を見る。

「なんじら断食するとき、偽善者のごとく、悲しき面容をすな。
彼らは断食することを人に現さんとて、その顔色を害うなり。」

"正しいことをしている"
"苦労している"
と暗い顔をして、わざわざ人に見せるな、
という教えです。

主人公は

「正義とは、微笑むことだ。
いつも、生きてるのが楽しくてたまらないという顔をして生きていくことだ」

という考えに辿り着く。

(太宰、お前が言うか!?)

敵国の宗教を敢えてぶつける辺りに、

太宰の強固な意思を感じた。
 
SNSを開けば、過剰な承認欲求、正しさや感動の押し付けが溢れている時代です。
そういうものが目に入るたび、この小説を思い出す。

めいこ🐱🎸