走るのが好きで、得意だった。

小学4年生までは
クラスで一番速かった。

大会に出れば表彰され、学校では登壇し、クラスメイトがいつも自分の机に群がるため、文字通り、得意になって走っていた。

"敗北"は5年生の時に訪れる。

転校生Aちゃんの登場によって。

自分より速い、というより
「次元が違う」
という感じだった。

タイムや駆け引きが勝負の世界で、Aちゃんは周りの選手に影響されずに、いつもベストタイムを更新していた。

衝撃だった。
Aちゃんの机に殺到するクラスメイトたち。

私は、走るのをやめた。

走るのが得意だと思っていたけど
それより遥かに得意な同年代がいる。

当時の自分には深刻だった。

多少の差なら努力したかもしれない。

しかし、まったく勝負にならない。

だから走るのをやめた。

走ったら比べられる以上

"2位が最もキツい場所"

だからだ。

深い劣等感が刻まれたこの出来事が、その後の人生にどう影響を及ぼしたのか。

意外に、悪いことばかりではなかった。

「調子に乗りやすい」
という自分の欠点に気づけた。

たまに何かが上手くいった時に

「調子に乗らない方がいいよ。
大したことないんだから」

と聞こえてくるのは
この時うまれた友人の声かもしれない。

彼の名前は

"劣等感"

めいこ🐱🎸