東大寺別院 阿弥陀寺 石風呂

日本語の「風呂(ふろ)」という言葉は「室(むろ)」という語から変化して生まれたと言われています。
「室(むろ)」というのは、洞窟のように狭いスペースのこと。大量のお湯に浸かる入浴スタイルが一般的となった江戸時代より以前の日本では、「室(むろ)」状の場所に蒸気をこもらせ、その蒸気を浴びる空間こそが「風呂」だったようなのです。
日本でも「入浴」「風呂に入る」というのは、ズバリ「蒸気浴」のこと、すなわちサウナに入るという行為だったんですね。
そんな“和のサウナ”を体験できる場所が、現在も日本の各地にいくつか存在しています。山口県防府市の「東大寺別院阿弥陀寺」の「石風呂」もその一つ。実に850年近く前の、鎌倉時代から受け継がれているものになるそうです。ナニコレ珍百景でも紹介されています。

コロナ禍からサウナがブームと言われている今日この頃。戦後の日本でサウナが誕生し一般化したのは、東京オリンピック(1964年)の際、サウナ本場のフィンランド選手団が持ち込んだのがきっかけの一つだそうです。
それから56年後、二度目の東京オリンピックを経た今では、筆者の身の回りでもサウナに行ってきたという話題はごく普通に聞くようになりました。日本でのサウナの現在位置はブームを何度か繰り返しつつ、定着期に入って来たということでしょうか。
しかし、世界でも有数のお風呂文化を育んできた日本には、サウナと同じ原理の入浴スタイル、「石風呂」というものがありました。石室の中で火を焚き、熱くなった部屋の中で汗を流す、というものです。
山口県防府市にある阿弥陀寺には、奈良東大寺の再建に尽力した重源上人ゆかりの湯屋や石風呂の遺構が残っており、保存会の方が石風呂が月1度運営されている。
阿弥陀寺は1187年から建立が始まり1197年に竣工した、華厳宗のお寺です。1180年に焼失した奈良東大寺の別所として建てられました。
入浴の仕方
●内部は非常に熱いので肌はなるべく出さないように、金具類が付いていない服装で入ってください。
●特に上部は熱いので腰は低くして入ってください
●それでも熱い人は毛布をかぶると熱さをしのげます
●入った後、汗が気になる人は簡易シャワーを使ってください
石風呂の開始時は130度近くの室内温度になるそうで、サウナよりずっと高温なのです。
薪が燃え尽きるまで4時間。薪が灰になる頃、熱は周囲の石に蓄えられ石風呂が完成。言わば、大きなかまどで火を焚いた後、その中に人が入るようなもので、確かに熱い訳です。ちなみに、サウナのように水蒸気の熱さはなく、石の蓄熱だけを浴びるスタイルなので湿気がありません。汗もさらっとしていて、服を着ていてもどんどん乾いていくのか、不快さはゼロだそうです。
いつか入浴してみたいです。

銭湯サポーター、サウナ女子 三橋