「ダメ」と書かれた札は、止まれの合図じゃない。
境界を示す線で、越えないためのものでもあるけれど、見つめるほど輪郭が濃くなる。
慎重さを装って、心は欲望の方向を向く。
笑顔は整えたまま、胸の内に「期待」を忍ばせる。
選択は静かだ。
否定を口にしても、肯定が消えるわけじゃない。
遠回りに歩くほど、欲は澄んでいく。
表情に出さず、足取りも乱さず、ただ決める。
禁句は誘惑の別名。
触れない約束が、想像を育てる。
欲望は鍵を掛けたまま、ポケットの奥で温度を保つ。
ブレーキだと思われがちな言葉ほど、実はアクセルの役目を果たす。
今夜はそれを知っている。