残熱の糸

一度触れた糸は、
離れてもなお、かすかな熱を残している。

指先を離したあとでさえ、
その感触は記憶の奥にそっと絡まり、
ふとした瞬間に、
忘れていたはずの温もりを呼び覚ます。

目には見えないのに、
確かにそこにある。

遠ざかるほど細くなりながらも、
切れることなく、
心のどこかで静かに繋がっている。

そしてまた、
何気ない瞬間にその糸が揺れるたび、
あなたの気配を思い出す。

触れたのは、ほんの一瞬。
けれど残った熱は、
思いのほか長く、
胸の奥で静かに息づいている。