静けさは、
嵐が訪れる前の、ほんの束の間。

風ひとつない夜なのに、
胸の奥だけが、
何かを予感するように騒いでいる。

まだ触れていない。
まだ何も始まっていない。

それなのに、
次の瞬間にはすべてが崩れてしまいそうなほど、
甘く危うい気配だけが、
肌の内側を静かに這っていく。

嵐はまだ来ない。
だからこそ――
この静けさが、いちばん色っぽい。