欲情は、
理性の薄衣を一枚ずつ剥がすように、
心の奥へ忍び込んでくる。

まだ何も始まっていないのに、
あなたの気配だけで、
胸の奥に隠した熱が
ひそやかに輪郭を持ちはじめる。

「これ以上は――」
そう思うほど、
視線はあなたを追い、
鼓動は素直に速くなる。

理性が境界を守ろうとするたび、
欲情は甘く囁きながら、
その隙間へ静かに入り込んでいく。

そしていつしか、
抗うことさえ心地よくなっていた。

言葉より深く、
触れるより先に、
あなたの存在だけが、
秘めた欲情を静かに呼び覚ましていた。