ケストナー『飛ぶ教室』
ケストナーの作品の中でも、最高傑作といわれている。
ヒトラー政権誕生の時期に書かれた。
ファシズム批判などでゲシュタポに逮捕され、財産を没収され、焚書事件にあい、それでも
"亡命するより歴史の証言者になるべきだ"
とドイツに留まり、創作活動を続けた。
こんな一文がある。
「すべて乱暴狼藉は、はたらいた者だけでなく、とめなかった者にも責任がある」
いたずらざかりの少年たちに手を焼いた国語のクロイツカム先生が生徒たちに書き取らせた文章で、小説の文脈と直接関係ない。
でもこれは、ケストナー自身の叫びだった。
ナチスの崩壊後、ヒトラーの暴走を傍観したドイツ人にも責任がある、といわれた。
すべてが終わったあとで、そう悲観するのは簡単。
でも、ナチスの時代が幕を開けた時、ケストナーはその危うさを予見して、焚書の対象外だった児童書の中にドイツ人への警鐘を紛れ込ませた。
大戦に突き進む権力と容認する大衆に対する、ケストナーの静かな批判。
知性と胆力がすごい。
ドイツ版『君たちはどう生きるか』だと思う。
実際、同時期に書かれていて、ケストナーも吉野源三郎も、台頭する全体主義に強く危機感を持って作品に反映していた。
それでも、戦争は止められなかった。
これが、私たちが得ている教訓。
最後に。
「賢さをともなわない勇気は乱暴でしかないし、勇気をともなわない賢さは、屁のようなものだ!」
めいこ🐱🎸