「顔、似てますよね」

「いやいや、似てませんよ」

「似せにいってるんですよね。
サングラスとかまったく同じじゃないですか」

「そうかなぁ、自分じゃ分からないけどなぁ」

「素直じゃないですね」

たまに行く駅で、知り合いKがギターの弾き語りをしている。

浜田省吾さんに惚れ込んで24年。
その深すぎる愛ゆえに、ギターを購入し、路上で弾き語りをするようになったK。

浜田省吾さんは、言わずもがな、物語性豊かな歌詞と、心に響くメロディに乗せる高いソングライティング力と、男臭さが魅力だ。

そんな浜省に高校生の時に出会い、心酔し、サッカー部を辞め、ボールの代わりにギターと浜省の歌を愛し、暇さえあれば駅で弾き語りをしているK。

なのに、"顔が似ている"という私の最大限の褒め言葉は、頑なに固辞するその姿勢はなんなのか。
たしかに私は、おじさんの顔は全部で4種類ぐらいにしか認識できていないが。

「僕は、風貌は尾崎豊に憧れてるんだけどな…」

とボソボソ呟くKを無視し、帰りに私が1番好きな

『もうひとつの土曜日』

をリクエストした。

ジーンズ、白シャツ、サングラスを掛け、ギターを手にした男性が駅にいたらそれはKです。

めいこ🐱🎸