人はどこまで理性を保てるのだろう。

 

冷静でいようとするほど、

逆に感覚は鋭くなる。

 

整えた表情。

落ち着いた声。

平然とした態度。

 

そのすべての下で、

別の衝動が静かに膨らんでいく。

 

理性は壁のようなものだ。

 

だがその壁は、

外側から壊されることは少ない。

 

多くの場合、

内側から溶けていく。

 

最初は小さな亀裂。

次に揺れ。

そして、

もう戻れないほどの快感に近い混乱。

 

自分が自分でなくなる瞬間。

 

恐ろしいはずなのに、

なぜか抗えない。

 

狂気に触れたとき、

人は完全に壊れるわけではない。

 

むしろその境界で、

一番人間らしい顔をする。

 

そしてその顔は、

驚くほど美しい。