心の天秤は、
理性と欲望の間で、静かに揺れていた。

「ここまで」と告げる理性と、
もう少しだけ近づきたいと囁く心。

その狭間で揺れるたび、
あなたの気配がそっと重さを増して、
均衡は少しずつ、
あなたの方へ傾いていく。

言葉を交わすほどに、
視線が重なるほどに、
秘めていた熱は
静かに輪郭を持ちはじめる。

それでもまだ、
天秤は完全には傾かない。

理性も、欲望も、
互いを手放せないまま――
ただその揺らぎだけが、
ふたりの間に甘い余白を残していた。