お昼過ぎに終わると思っていたのに、
お昼前に終わってしまった。

アプリで予約したときは、
確か2時間半くらいかかる計算になっていた。
だから今日のお店の出勤も
14時からにしていたのだけれど、
実際にかかったのは、
たったの1時間半。

目を開けて時計を見た瞬間、
「えっ、もう終わったの?」と、
びっくりした。

でも、なんだか得したようで嬉しかった。
そういえば、
いつも担当してくださるお姉さんは、
結構手が速いんだよね。
若いのにしっかりしていて、
パキパキしている。
以前、お手入れがちゃんとできていなくて
怒られたこともある。

そんなところも含めて、
私は結構このお姉さんが好き。
特に指名しているわけではないのだけれど、
なぜか私が行くと、
いつもこのお姉さんが担当してくれる。

それにしても、
1時間半ぐっすり眠っていたところを、
突然起こされたようなものだから、
頭はまだ寝起きのまま。
ぼーっとしているし、
身体の節々までなんとなく痛い。
「もしかして、
ウォーキングの筋肉痛かな……」
なんて思いながら外へ出た。

行きは時間がなくて、かなり焦って走った。
でも、帰りは違う。
思いがけず、1時間もの余白ができた。
だったら、のんびり帰ろう。

今日は14時から出勤。
そして16時からご予約をいただいている。
少し早めに13時ごろ出勤して、
そのまま16時まで、
まとめて睡眠貯金でもしちゃおうかな。

そんなことを考えながら歩いていると――
前から、大勢の風さんたちがやってきた。
ふわあっと一斉に私のところへ押し寄せて、
髪を吹き上げ、服の裾を揺らしていく。

ああ、気持ちいい。
まだ眠りの中に
半分取り残されているような私の顔を、
風が優しく洗ってくれる。
まるで、
「遅いよ。ずっと待ってたんだから」
とでも言っているみたい。

そうか。行きはあんなに慌てていたから、
風さんたちと
遊んでいる暇なんてなかったものね。
きっと、待ちくたびれて
迎えに来てくれたんだ。

風さん、お待たせ。
一緒にお部屋に帰ろうね。
帰ったら、ちょっとゆっくりできそう。

そして、朝に食べきれなかった
朝ごはんの続きを食べよう。

思いがけず生まれた一時間。
急いで何かを詰め込まなくてもいい。

風に髪を遊ばせながら、
のんびりお部屋へ帰ろう。
だって今日は、このあと16時から、
楽しみにしている時間が待っているのだから。