そう、風さんが追いかけてきて、
そこで初めて風さんに気づいた。
ぶわー、ぶわーっと、
強い風が私を煽り立てるように吹いてくる。
どうやら風さん、
ずっと待っていたのに、
私が気づかずに
通り過ぎようとするものだから、
ちょっと怒ったみたい。
「ごめん、ごめん。謎の葉が気になって、
ちょっと考え事してたの」
朝、新しく謎となった一枚の葉。
この葉は、一体どこから来たんだろう?
あれこれ考えて、
私が行き着いた答えは、
やっぱり「謎の木1」から
落ちてきた葉っぱなのではないか、
ということだった。
葉の形も、よく似ている。
そうなると、
土木事務所から教えていただいた
「カツラ」という木では
ないような気がしてきた。
カツラの木について調べてみると、
私が見上げた木の葉っぱとは、
形が全然違う。
管理番号を間違えることって、あるのかな?
気になって、
植物判定アプリでもう一度識別してもらうと、
今度は「アメリカハナノキ」と出た。
別のAIにも聞いてみると、
カツラではない可能性が高く、
どちらかといえばアメリカハナノキに
近いのではないか、という推測だった。
なぜか、モヤモヤが残る。
でも、これ以上焦ったところで、
今の私にはどうすることもできない。
木に登って、
実際の葉っぱを取ってくるわけにもいかない。
それなら、
土木事務所にもう一度確認してみるか。
でも、聞き方によっては、
「間違ってるんじゃないの?」
とクレームをつけているようにも
聞こえてしまいそうだ。
ちょっと、
確認の仕方を考えなければいけない。
早く謎を解きたい。
そんな逸る気持ちはあるけれど、
ここは一日置いて、
明日の朝にでも電話してみようと思う。
「いろいろ調べてみたんですけど、
なんだか違うような気がするんです」
そんなふうに聞いてみようか。
大通り公園の木々の緑が美しい。
ここにも、謎の木1と同じ木はあるのかしら。
葉の先が三つに裂けたような形をした木。
そんなことばかり考えながら歩いていたら、
いつの間にかホテルへ着いてしまった。
風さんも、首をかしげながら一緒に考え、
私の隣を歩いていてくれたみたい。
「それでは、行ってくるわね」
そして、本日最初のドアが開きました。
久しぶりにお逢いできて、
すごく嬉しいあなたが迎えてくださいました。
「わあ、久しぶりね。元気だった?」
「ああ、元気だよ」
少しそっけないけれど、
それもまたあなたらしい。
いつもお部屋を薄暗くしているところも、
変わらない。
しばらくお逢いしていなかったけれど、
変わらないあなたに、なんだかほっとした。
すぐにあなたに抱きしめられ、
ぎゅっと抱きしめ返す。
まるで再会を喜び合うように。
あなたのぬくもりと胸の鼓動を感じると、
私の胸もドキドキした。
しばらく、ただ身体を寄せ合いながら、
あなたの腕に包まれていた。
それから、お風呂へ。
あなたは、なぜか暗くするのが好き。
意外と照れ屋さんなところが、
また素敵なのよね。
ぬるめのお風呂が好きなあなた。
お風呂から上がると、
「寒いんじゃないかい」
と言いながら、
そっとバスタオルをかけてくださったり、
寒いだろうと布団でくるんでくださったり。
そんな、さりげない気遣いに温かさを感じる。
今日もずっと、
あなたのぬくもりの中に隠れていた。
そして、あなたの優しさにときめいていた。
「また待っていますね」
そうしてあなたとお別れしたあと。
どうやら風さん、
お昼寝でもしているのかしら。
迎えに来てくれない。
暑い、暑い。
次のご予約まで20分ほどあったので、
からあげクンを買って、
食べながら公園のベンチに座り、
日記でも書こうと思った。
ところが、ホテルの近くにあるローソンには、
お目当てのご当地キャンペーンの商品が
ひとつもなかった。
いつものからあげクンなら、今
は買わなくてもいいかな。
そう思って諦め、公園のベンチへ向かった。
ちょうど日陰になっているベンチがあって、
そこに腰を下ろす。
ああ、気持ちいい。
すぐそばでは、
小さな子供とお母さんが滑り台で遊んでいた。
とっても微笑ましい風景。
なんだか、公園らしい。
でも、私はひとり。
「風さん、風さん、風さーん」
そう呼んでみると――風さんが、
やってきてくれた。
「あれ?」
一枚の葉が、謎を深くした✨
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