「あら?」
さっきは、そこで終わってしまった。
何の「あら?」だったのかというと――。
次のあなたとの待ち合わせまで、
少し時間があったので、
公園のベンチに座って日記を書いていた。
その時、
ふと真横に立っている木が目に入った。
「あれ?」なんとなく、
昨日から続いている“謎の木”の正体に
近づけそうな気がしたのだ。
謎が解けた、というほどではない。
でも、謎が解ける一歩手前まで来たような、
そんな予感がした。
葉っぱは丸くて、どこかハート型にも見える。
なんともかわいらしい形をしている。
「これが、カツラなんじゃない?」
思わず写真を撮り、
植物判定アプリで調べてみた。
ところが――ナンキンハゼ。
ええっ、また?
てっきりカツラだと思っていただけに、
ちょっと残念。
でも、本当にナンキンハゼなのだろうか。
昨日から、すっかり疑い深くなっている私。
植物判定アプリの答えを、
そのまま信じる気にはなれなかった。
謎解きは、まだ続くらしい。
そんなことをしているうちに、
あなたとの待ち合わせの時間が近づいてきた。
今日は急遽、
待ち合わせへと変更になった。
でも私には、
あなたがなぜ待ち合わせにしてくれたのか、
なんとなくわかるような気がしていた。
私が昨日から、
0時を過ぎてまで
ファッションショーをしながら、
あなたと逢うのを楽しみにしていたこと。
それを日記で知ってくれていたからなのかな。
「今日は、どんな服を着てくるのかな」
もしかしたら、
歩いている私の姿を見たかったのよね。
そんなふうに、
ちょっと自分よがりに考えていたけれど――
どうやら、本当にそうだったみたい。
それが、私にはとても嬉しかった。
二人で並んで歩いた。
そしてあなたから、
「後ろ姿が見たい」
と言われて、
私はあなたの少し前を歩いた。
いつものホテルへ向かって、二人で歩く。
そして今日のドアは、
あなたと二人で開けました。
「今日は、ゆっくり話したい」
そう言いながら、
「短い時間でごめんね」
と言ってくれたあなた。
「ううん、十分長い時間よ。
いっぱいお話しして楽しみましょう」
そう言って、二人で乾杯した。
口に含むと、
どこか秋を思わせるような、ほのかな味わい。
その優しい味の向こうに、
あなたの思いやりまで感じられるようで、
なんだか嬉しかった。
そして、お腹を空かせていた私のために、
いろいろ用意してくれていた。
本当にありがとう。
何を用意してくれたか以上に、
そうやって私のことを考えてくれていた、
その気持ちが嬉しい。
あなたとは、
8月に入ってから、これでもう三度目。
いつも長い時間を取ってくれて、ありがとう。
その分、ゆっくり話すことができる。
いろんなことを話して、
笑って、
また話して。
そうやって逢うたびに、
少しずつ、少しずつ、
あなたとの距離が縮まっていくのを感じる。
そして何より嬉しいのは、
あなたがいつも
私の日記を読んでくれていること。
私が何を見て、
何を感じて、
どんなことを嬉しいと思い、
どんなことに心を動かされているのか。
言葉にしなくても、
私の心を
少し知ってくれているような気がする。
そこが、私は一番嬉しい。
「ああ、もうあと少し……」
残り時間がわずかになった頃、
二人で抱きしめ合った。
肌を寄せ、
あなたの胸の鼓動を感じながら、
その腕の中で、
うっとりとろけるような時間を過ごした。
また、お逢いできるのを楽しみにしています。
そして、またいろいろなことを
教えていただけるのも楽しみにしています。
次に逢う時には、
今日よりもう少し、
あなたとの距離が近くなっているのかな。
そんなことを思いながら、
あなたとお別れした。
待機場へ向かって歩き始めると、
風さんが私を見つけて、
すぐにやってきた。
「なんか、嬉しそうね」
そんなふうに言われた気がした。
「そうよ。とってもいい時間を過ごしたのよ、
風さん」
風さんは何も言わず、
でも、すべてわかっているように、
嬉しそうな私のそばを一緒に歩いてくれた。
謎の木のそばで、またひとつ近くなる✨
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