外へ出ると、やはり寒かった。

テレビで聞いていた「10月並みの気温」
という言葉が、
そのまま肌に触れてくるようだった。

今日はノースリーブのブラウス。
よりによって、
こんな日に限って羽織るものがない。

でも、
私には紺色のバスタオルショールがある。
本当はただのバスタオルなのに、
肩に掛けてみると
意外なほど今日の服に馴染んでいた。
思わず、これなら案外いけるかもしれない、
と少し可笑しくなる。

外はまあまあの雨。
めぐり木のモチおじさんとなぞちゃんが、
今日も静かに私を見送ってくれていた。
ふと、なぞちゃんを見る。
葉っぱの一部が黄色くなっている。
紅葉というより、
少し栄養が足りず、
元気をなくしているようにも見えた。

なぞちゃん、私のように元気を出してね。
心の中でそう声を掛けて、お店へと向かった。

すると、今日も風さんがやってきた。
ねえ、風さん。
今日は寒い一日になりそうよ。
でもね、
私がもう諦めていた
adidasのウィンドブレーカー、
ホテルで預かってくれることになったの。

だから来週、取りに行くのよ。
そう、よかったね。
そんな声が返ってきたような気がした。

でも今日と明日は、
このバスタオルショールで
なんとか寒さをしのがなくちゃ。

横浜もまだ暑いだろうと、
すっかり読み違えていた。
猛暑の中からやって来た私は、
まさかここまで冷えるとは思っていなかった。
やっぱり羽織り物を1枚くらいは
持っていないと駄目ね。

暑いのも嫌い。
寒いのも嫌い。
ねえ、風さん。
今日は少しだけ温風になって、
私を温めてくれない?

そんなことを話しながら歩いているうちに、
お店が近づいてきた。
昨日と同じ場所が空いていたらいいな。
同じ場所というのは、不思議と落ち着く。

16時にはご予約をいただいている。
月曜日にお逢いしたばかりなのに、
また今週もう一度逢える。
そのことを思うと、
寒さの中にも小さな灯りがともる。
それまでは静かに待とう。
もしかしたら、少し眠れるかもしれない。

じゃあ風さんも、どこかで雨宿りしておいで。
私も今日は眠たいから、
少しだけ目を閉じようかな。
果報は寝て待て、と言うでしょう。

冷たい雨の日。
それでも肩には紺色のぬくもりがあり、
隣には風さんがいる。
そしてこの先には、
もう一度逢える人との約束が待っている。

だから寒ささえも、
今日は少しだけ
笑って受け止められそうだった。