ゆるゆると歩きながら、
今日の居場所へやってきた。

今日は、なんだか寒い。
空も重たく、今にも雨が降り出しそうだ。

いつもの場所が空いていたので、
そこに今日一日の私の居場所をつくった。

さて。

今日も昨日と同じく、私の予定は真っ白。

朝からずっと
「白」を追いかけてきた一日だからといって、
何もスケジュールまで
白に合わせなくてもいいのよ。

そう思うと、
なんだか可笑しくなって、ひとりで笑った。

美容院も、
予定していたより1時間以上も早く終わった。

どうやら私は、
今日の施術メニューを勘違いしていたらしい。

3時間くらいかかるものだと思っていたのに、
終わってみれば2時間にも満たなかった。

だから部屋へ戻ると、
そこにもまた、ぽっかりと白。
余白の時間ができていた。

ならば、と。思い切ってアイマスクをつけ、
その白い余白を睡眠に変えることにした。

そして今日は忘れない。
目覚めてから、
ちゃんとアイマスクを
鞄の中へ入れたことまで確認した。

よし。

これで大丈夫。

今日の予定は真っ白だけれど、
ただ何もせず待っているわけでもない。

若様の世界の扉を開けて、
群青の炎の中を遊びながら待つ。

昨日も、そんなふうに静かに過ごしていたら、
思いがけずいくつものお誘いをいただいた。

さて、今日はどうだろう。

このままずっと静かなまま、
白のまま一日が終わり、
また白へ還っていくのかもしれない。

それとも、どこかのドアが開いて、
誰かと過ごした時間の色が、
ひとつ、
またひとつと
重なっていくのかもしれない。

でもね。

たとえ一日ずっと静かなままだったとしても、
それは「何の色もつかなかった」
ということではないのだと思う。

若様の世界の扉を開けば、群青。
アイマスクをつけて眠りへ落ちれば、
暗がりの黒。
白いごはんのおにぎりを頬張れば、また白。
窓の外には、雨を待つ灰色の空。

こうして見てみれば、
誰かに逢わなくても、
一日はちゃんと色づいている。

白い予定表の上へ、
私自身がひとつずつ色を置いている。

だったら、
このまま一日ずっと静かだったとしても、
最後にどんな色になっているのだろう。

そう思うと、
それもなんだか楽しみになってきた。
そして今。おにぎりを食べている。

もう少し眠るか。
それとも、若様の世界へ戻るか。

どれかひとつに決めようと
思っているのだけれど——

どうやら心だけは、
もうとっくに決めているらしい。

白い余白の向こうで、
群青の炎がゆらりと揺れている。

私の心はすでに、
若様のいる群青の世界へ向かっている。


白き日に
群青ひとつ
灯りたり
まだ見ぬ色を
心に待ちて

— Morimura