待機所に戻ったのは、
14時を少し回った頃だったと思う。
あなたと過ごした時間、
そしてテラコッタ色の温もりを
日記にまとめていたら、
いつの間にか15時を回っていた。
遅めのお昼におにぎりを食べてから、
ごろんと横になり、しばらく睡眠貯金。
1時間ほどで目が覚めると、また日記を書く。
そして、また眠る。
そんなことを
3回ほど繰り返していただろうか。
4度目の日記を書いている途中で、
お仕事のメールが入った。
外は雨が降っていた。
送迎だったから、
風さんに声をかける暇もなく、
そのまま車に乗った。
風さん、どうしているかなあ。
そんなことを思いながら、
次のドアが開いた。
迎えてくださったのは、
爽やかな笑顔が素敵なあなた。
けれど、いきなり聞かせてもらったのは、
まるでジョークのような前哨戦のお話だった。
思わず笑ってしまって、
「それ、今後の話題のネタに
使わせてもらうわ」なんて言うと、
あなたは笑いながら、
「言って言って」と返してくださった。
お気の毒なお話のはずなのに、
その反応がまたおかしくて、ふたりで笑った。
たったひとつのハプニングが、
私たちの間にあった距離を、
ふっと縮めてくれたようだった。
私はあなたを慰めるつもりで、
優しく包むように抱きしめた。
あなたも、その思いに応えてくれた。
そのとき、あなたの向こうに、
天照大神の輝く光が魅えるような気がした。
それは、夜明けの空から
ゆっくりと昇ってくる日の出のような光。
強く照らすのではなく、
あまねく包み込むような、
やわらかな光だった。
あなたと過ごした時間の温もりを
胸に残したまま、私はまた車に乗った。
また機会があれば、お逢いできるといいな。
そんなことを思いながら、
待機所へ戻った。
車を降ろしてもらい、
そのまま中へ入らず、
私はしばらく外にたたずんでいた。
そして、空を見上げた。
私がいつも見上げている空は、
きっといつもの群青色に
染まっているはずなのに、
少し違って見えた。
天照大神が天の岩戸から
顔を出したときのような、
世をあまねく照らす光が、
薄いベールとなって空全体に
かかっているようだった。
その光を見ていると、
胸の奥がゆっくりと温かくなっていった。
そのときだった。
きゅうっと吹き抜ける風の気配を感じた。
「あ、風さん」やっと会えた。
「よかった。ずっと一人で心細かったのよ」
思わず、そう声をかけた。
あなたがそばにいないというだけで、
やっぱり私は少し寂しい。
だって、あなたは私の相棒だから。
いつも私を明るい方へ導いてくれる、
大切な相棒だもんね。
雨のあと。
人の温もりのあと。
光の余韻のあと。
ようやく風さんに逢えて、
私の心もやっと、
いつもの場所へ還ってきたような気がした。
天の光
風にまとひて
還る夜
相棒の気配
胸に灯りぬ
— Morimura
風、光をまといて還る✨
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