営業終了の札を出して、
一日の物語も、きちんと閉じた。
さて、帰り支度。
そう思った、そのとき。
ピコン。
お仕事のメールの着信音。
「あれれ?」開いてみる。
「え、今から?」ちょっと驚いたけれど、
よく見れば、
たしかに終了5分前からのご予約。
……なるほど。
ここは森村。
最後のひと踏ん張りです。
帰り支度をすべて整え、
そのまま待っている車へと乗り込んだ。
向かった先は、
朝のウォーキングで
いつも前を通っているホテル。
そこであなたは、
エレベーターホールまで
迎えに来てくださった。
爽やかな笑顔。
そして、がっしりとした体。
その姿を見た瞬間、
私の頭に浮かんだのは――
デューク東郷。
実は私、
ゴルゴ13の大ファンなのだ。
そんなたくましいあなたの後ろを歩きながら、
ふと思う。
あまり背後から忍び寄ってはいけない。
なんとなく、危険な気がする。
そこで少し距離を置いて歩いていると、
あなたが振り返って、
「大丈夫?」と、
心配そうに声をかけてくださった。
私は思わず笑ってしまった。
「大丈夫ですよ」
ホテルの浴衣に着替えたあなた。
その下からのぞく、
鮮やかなレモン色のTシャツが、
なんとも目にまぶしい。
そこからはもう、
完全にゴルゴ13の世界。
「スイス銀行に預金持ってるの?」
「やっぱり下着は白のブリーフ?」
「いきなりパンチ繰り出さないでね」
我ながら、
ずいぶん好き勝手なことを言っている。
けれどあなたは笑いながら
受け止めてくださった。
東の都の話。
古都の話。
あれこれ話しているうちに、
私はたくさん褒めていただき、
すっかり舞い上がっていた。
そして、
そのたくましい腕に抱かれていると、
少しだけ気持ちまでふわりと軽くなる。
いつも朝に魅つめている海側とは反対の、
街の夜景。
それもまた、
知らない横浜を見ているようで新鮮だった。
最後にあなたが、
「面白かったわ」とおっしゃった。
実は私も、
まったく同じ気持ちだった。
「私も、面白かったわ」
そう答えて、
私は部屋を出た。
そこで、なぜだかふと思う。
今日はなんだか、
エスカイアクラブの
バニーちゃんみたいな格好を
してみたい気分。
……どうしてそうなった?
自分でもよくわからない。
でも、
今日という一日は、
何度も扉が開いた日だった。
シンデレラの扉。
森村探検隊の扉。
そして最後に、
まさかのバニーちゃんの扉。
だったらもう、
最後くらい好きに締めよう。
今夜の森村、
バニーちゃんスタイルにて退場です。
では、また明日。
おやすみなさい。
— Morimura
余話|最後のドアが、また開いた✨
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