白くなれば、
すべてが消えると思っていた。
昨日の熱も、
交わした言葉も、
胸の奥に残った小さな震えも。
けれど朝は、
そんなに器用には
昨日を消してくれなかった。
白の向こうに、
まだ薄紅がいた。
グレーの中には群青がいて、
そのあわいには、
夜と朝のどちらにも属さない
静かな色が眠っていた。
それを見て、
私は少し嬉しくなった。
余白とは、
何もないことではなかった。
昨日を置いてきた場所でも、
心を真っ白にする場所でもなかった。
そこにはまだ、
あなたと過ごした時間のぬくもりがあり、
思いがけず巡り逢えたことへの驚きがあり、
会うたびにまた心が動くという、
小さな炎が残っていた。
消えていない。
ただ、
静かになっただけ。
風に揺られながら、
形を変えながら、
私の中でまだ灯っている。
だから今朝は、
余白より余韻。
新しい朝を始めるために、
昨日を忘れなくてもいい。
むしろ、
大切なものほど
少し残したままでいい。
やがて空は白に還る。
それでも、
一度灯った色まで
消えてしまうわけではない。
見えなくなっただけで、
心のどこかでは
まだ静かに燃えている。
逢うたびに、
またひとつ。
知るたびに、
またひとつ。
恋は重なるのではなく、
そのたび新しく生まれるのかもしれない。
そして私は今日も、
昨日の余韻を胸に残したまま、
白い朝の中へ歩いていく。
— Morimura
独立詩|余白より、余韻✨
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