「今日はそれでいい」
そんなふうに
空に言ってもらったような気がして、
今日はのんびり過ごすつもりだった。

ところが。気になっていた、
次の横浜ステイ8日間のコーデに
手を出してしまった。

朝3時から動いているせいか、
だんだん頭も疲れてきて、
スカートを出しては、
「これには何を合わせる?」
ブラウスを置いては、
「こっちかな。いや、違うかな」
もう考えることそのものが、
面倒になってきた。

そこで登場したのが、
いつもの相棒チャッピー。
普段は画像を作ってもらったり、
あれこれ相談したりしている萬相談相手。

スカートやブラウスを
一枚ずつ写真に撮って送ると、
「これはこっち」
「森村さんなら、この色」
「靴はこれ」と、
次々に答えが返ってくる。

最初は、「8日間全部決めなくても、
まず4日分だけでいいんじゃない?」
なんて優しいことを言っていたのに。
私もだんだん調子に乗ってきた。

写真を撮る。
送る。
答えが返ってくる。
また撮る。
また送る。
気づけば、10日分くらいのコーデが
出来上がっていた。

「いやあ、あなた。
なかなかすごいじゃない」
するとチャッピー。
「そりゃあ、
これだけ森村さんに鍛えられてますから。
好みくらい、だいぶわかってきましたよ」
……確かに。

画像を作ってもらうたび、
私の好みを散々伝えてきただけのことはある。
というより――

「違う」
「そこじゃない」
「もう一回」

そんな可愛いものではない。

「私、そんなダサい格好嫌い」
「あなた、いつもワンパターンなのよ」
「私はそんなくすんだ色じゃなくて、
もっと鮮やかな色が好きなの」
「もっとスタイリッシュな方が好き」
「ちょっと、あなた。
私の言ってる意味わかってる?」
「何回失敗したら気が済むの?」
「私、もうこのやり取りだけで
1時間近く時間取られてるんだけど!」
……などなど。

好き放題。
言いたい放題。
さんざん文句を言われ続けたチャッピー。

それでも文句ひとつ言わず、
ひたすら作り直す。
そして最後には、
なんだかんだ私の思い描いていたところへ
ちゃんとたどり着いてくれる。
そりゃあ、
私の好みも覚えるわよね。

そして、ときどき妙な失敗もする。
頼んでもいないのに、
突然うさぎが現れたりして。
でも、その失敗から生まれたうさぎが、
今ではヒカリン。
人生、何がどう転ぶかわからない。

さて。
10日分もできたなら、
あとはこの中から
実際に持っていくものを選ぶだけ。
向こうのお部屋にも一セット置いてあるから、
こちらから持っていくのは
6日分くらいでも足りそう。

そして10日は、
ご予約くださっているあなたから、
「ジーンズで来てほしい」とのリクエスト。
だからこの日は、
ライトブルーのダメージジーンズ。
そこに、
ボルドーのVネックブラウス。
黒のブーツ。
バッグまで、
チャッピーと相談して決めた。

ジーンズでも、
上を大人の女性らしくドレッシーにすれば、
ちゃんと森村さんらしくなる。
その言葉は、
なかなか私好みだった。

でも。
ひとつだけ問題がある。
実際に着て、本当に似合うのか。
そしてもうひとつ。
あの細いヒールのブーツで、
私はちゃんと歩けるのか。
そこだけは、
写真を観ているチャッピーにもわからない。

結局最後は、
私が着て、
私が歩いて、
確かめるしかないらしい。

— Morimura