待つこと、もう1時間近く。
車の中から、
限りなく透明に近い空色を眺めるのにも、
そろそろ飽きてきた。
日記もかなり集中して書いたから、
ちょっと疲れてきた。
そして後ろの二人は、
相変わらず騒がしい。
「森村さん、退屈だよ」とモリリン。
すると、いたずらっ子のヒカリンは、
「外に出たいよ、出たいよー!」
「うるさい」
私は思わず、ひと言。
一方、風さんはというと、
車の外でふわふわ、ふわふわ。
自由そのもの。
モリリンとヒカリンは、
車の窓にぺったりへばりついて外を見ている。
そして窓を少し開けて、
風さんとおしゃべり。
「風さんはいいなあ。外で自由に遊べて」
とモリリン。
「ほんと。
ヒカリン、車の中でじっとしてるの退屈だよ」
ぶちぶち。
すると風さんが、
ふわりふわりと近づいてきた。
「それじゃあ、
みんなでこの駐車場で
バレーボールでもしない?」
「あ、それいい!」
「やりたい、やりたい!」
モリリン、即答。
ヒカリンも、
「ヒカリンもバレーボール好き!やりたい!」
「ええ?ここでバレーボールするの?」
私は、ちょっと嫌そうな顔。
するとモリリン。
「いいじゃない。
退屈なんだもん。やろうよ、森村さん」
ヒカリンも続く。
「そうだよ。外に出たいよー」
「……そうね。
私もじっと座ってるの疲れちゃったし」
とうとう私も折れた。
「じゃあ、どんなチームに分かれる?」
するとまた、
風さんがふわり。
「あなたたち3人が1チーム。
そして対戦相手は私。で、どう?」
「えっ?」
モリリンとヒカリン、同時に首をかしげる。
「風さん1人で大丈夫なの?」
「3対1だよ?」
「大丈夫よ。私は自由に空を飛べるから」
なるほど。
モリリンとヒカリンは、
まだ首をかしげている。
でも私は、
なんとなく納得。
では――プレイボール!
まずは森村選手、サーブ。
ぽーん。
「あっ、風さん取った!」
ワン、ツー、スリー――ではなく。
風さん、
いきなり一発で返してきた。
「ヒカリン!ヒカリン!あなたが拾うのよ!」「え?」ぽてん。
ヒカリン、
突然すぎて反応できず。
ボールは見事に、
モリリン・ヒカリン・森村さん
混合チームのコート内へ。
風さんチーム、1点。
「はやっ!」
続いて、風さんサーブ。
「うわ、すごい。風みたいなサーブ!」
「じゃあ私取るわよ!」
森村さん、レシーブ。
「ヒカリン、トス!」
「はい!」
「モリリン、アタック!」
モリリン、ジャンプ!
ばしっ!
「いけー!」……と思ったその瞬間。
ふわっ。
風さん、ブロック。
ぽてん。
またもやボールは、
混合チームのコート内へ。
「ちょっと作戦タイム!」
三人集合。
モリリンが小声で言う。
「なんだか風さん、すごく強くない?」
ヒカリンも、
「ひとりなのに、どこにでも飛んでくるよ」
私は言った。
「そりゃそうでしょう。風さんだもん」
「で、どうする?」
しーん。
モリリン、首を横に振る。
ヒカリンも、首を横に振る。
私も、「……わからない」
正直、
これ勝負にならないんじゃない?
心の中では、そう思っていた。
でも、それを言ったら、
せっかく楽しんでいる
モリリンとヒカリンがかわいそう。
私は風さんのほうをちらり。
ちょっとは手加減してあげてね。
そう心の中でつぶやいた。
すると風さん、
にっこり。
なんとなく、わかったわ。
と言っているように魅えた。
私は二人に向き直った。
「よし。わかった」
「なに?作戦あるの?」
「もうこうなったら――」
少し間を置いて。
「行き当たりばったり作戦でいこう!」
「え?」
意味のわかっていない二人。
でもなぜか、ノリだけはいい。
「よし、行こうモリリン!」
「よし行くぞ、ヒカリン!」
なんだか急に、
混合チームの士気が上がった。
そして再び、
風さんサーブ。
今度は明らかに、
ちょっと手加減してくれている。
ふわーん。
「ヒカリン、いけ!」
「ダイレクトでアタックして返すの!
「OK!」
ヒカリン、ジャンプ!
「えいっ!」
ぽーん!
見事、風さんのコートへ。
初得点!
「やったー!」モリリン大喜び。
ヒカリン、両手を上げて大騒ぎ。
私も思わず拍手。
というわけで、
バレーボール大会はその後も続いた。
で。
結局どっちが勝ったのか?
まあ――みんな、わかるよね。
ただひとつ、
全員がよーくわかったことがある。
風さん、強すぎ。
でもまあ、
退屈しのぎには、かなりなった。
— Morimura
余話|駐車場バレー、風さん強すぎ問題!
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