第一部|星の願い、夜明けに叶いて〜オリオンの帯と剣、そして小さな奇跡〜
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願いというものは、
こんなにも早く叶うものなのだろうか。
昨夜、星空のお話をしていた。
冬の大三角形。
そして、オリオン座。
なかでも私の心を惹きつけたのは、
オリオンの腰に輝く三つ星のベルトと、
そこから吊り下がる剣だった。
いつか、この目で見つけてみたい。
そんな小さな願いを胸に、
眠りについた。
今日は横浜を離れ、和歌山へ向かう日。
いつもなら3時に起きるところを、
星空が見たくて、
アラームを2時50分にセットしていた。
ところが。ふと目が覚めた。
時計を見ると、2時13分。
あら、まだ早い。
でも、不思議なことに、
眠気よりも先に心が動いた。
星が見たい。
そんな想いが、
私を眠りの世界から
そっと連れ出してくれたのかもしれない。
早速、ベランダへ。
まだ街は深い眠りの中。
空を見上げると、
そこには小さな光がいくつも瞬いていた。
あっ!見つけた!
オリオンの三つ星。
少し斜めに並んだ三つの光が、
まるで私に
「ここだよ」と語りかけているよう。
そして、その下には、
小さな星々が寄り添うように輝いていた。
オリオンの剣。
昨夜、逢いたいと願ったばかりの星たちが、
今、私の目の前にいる。
嬉しい!
もっとよく見たくなって、
ベランダの角へ少し移動してみた。
すると、それまで隠れていた星たちが、
次々と姿を現した。
ひとつ、ふたつ、みっつ……。
剣の周りには、
小さな星がいくつも散りばめられている。
そして剣の中央あたりには、
淡く、ぼんやりとした光の気配。
ここには、
オリオン大星雲という、
星々が生まれる場所があるのだという。
遥か彼方の宇宙。
今、私が魅つめている光は、
途方もなく長い時間を旅して、
この横浜の空まで届いたもの。
そう思うと、
胸の奥がじんわりと熱くなった。
冬の大三角形からオリオン座へ。
ベルトから剣へ。
点と点だった星たちがつながり、
私の心の中に、
ひとつの星空の物語が生まれていく。
ほんの少し立つ場所を変えただけで、
今まで見えなかった世界が広がった。
空が変わったのではない。
私の魅つめる世界が広がったのだ。
ふと、思った。
今日は何かいいことがあるかしら。
和歌山へ向かう旅立ちの日。
何か素敵な出来事が待っているといいな。
でも……。
ふふっ。
もう、いいことがあったじゃない。
昨夜の願いが、
夜明けを待たずに叶ったのだから。
そう思ったら、
なんだか今日という一日が、
いつも以上に愛おしく感じられた。
幸せは、
遠くに探しに行くものではなく、
ほんの少し顔を上げた先に、
静かに待っているものなのかもしれない。
そして今朝、
その小さな幸せを、
私は自分の目で見つけることができた。
さあ、今日はどんな一日になるのだろう。
旅立ちの朝。
夜空いっぱいに瞬く星たちのように、
私の今日という一日も、
キラキラと輝く時間で満たされますように。
オリオンの帯と剣。
昨夜までの憧れが、
今朝、私の心の宝物になった。
そして、新しい物語が始まる。