秋の夜長に、言葉の旋律とふたつの鼓動〜再会の喜びを胸に抱いて〜
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今日は朝から出張先で予定があり、
15時頃には移動を始めて、
この街へ戻り、
そのままお店に出勤することになっていた。
けれど、今日はいつもとは少し違う。
18時から、
また今週もあなたに逢える。
そして、21時からは、
お久しぶりに逢える。
そう思うだけで、朝から心が弾んでいた。
出張先での予定を終えると、
喜び勇んでこの街へと向かった。
いつもなら、
移動の時間もひとつの旅として
楽しむ私だけれど、
今日は少しばかり気が急いている。
早く着きたい。
早く準備を整えたい。
そして何より、早くあなたに逢いたい。
そんな想いが、私の心を少し先へ、
少し先へと走らせていた。
ようやく到着すると、
急いでお店に立ち寄り、
鍵を受け取ってお部屋へ向かった。
扉を開ける。ああ、帰ってきた。
お部屋は、私が出発したときのままだった。
見慣れた景色。
置かれたものの佇まい。
そして、出発したあの日の朝の空気までもが、
そこに残っているような気がした。
ほんの数日離れていただけなのに、
どこか懐かしい。
何も変わっていないことが、
こんなにも心をほっとさせてくれるなんて。
人にはそれぞれ、
心が帰っていく場所があるのかもしれない。
そんなことを思いながら、
荷物を置き、ひと息ついた。
時計を見ると、もう17時半。
さあ、そろそろ出かけましょう。
秋の日は、いつの間にか随分と短くなった。
窓の外には、すでに夜の帳が下り始めている。
昼と夜の境目が曖昧になる、秋の夕暮れ。
けれど、私の心の中には、
今から始まる時間への期待が
明るく灯っていた。
あなたが待っていてくださるホテルへと、
足を急がせる。
そして。本日、最初のドアが開きました。
嬉しい!
また今週も、あなたが逢いに来てくださった。
扉の向こうには、
見慣れたあなたの優しい笑顔。
つい先ほど、
この街に戻ってきたばかりの私を、
こうして迎えてくださる。
そのことが、たまらなく嬉しかった。
「逢いたかったよ」
あなたはそう言って、
私をぎゅっと抱きしめてくださった。
私も。
私も、逢いたかった。
言葉にするより先に、
あなたの温もりが胸いっぱいに広がっていく。
あなたの胸に顔を寄せると、
静かに、けれど確かに響いてくる鼓動。
トクン、トクン。
あなたの心臓が刻む、その生命のリズム。
そして私の胸もまた、
少し速い鼓動を刻んでいた。
きっと、
あなたにも伝わっていたことでしょう。
ふたつの鼓動が、
抱きしめ合う温もりの中で、
ひとつの旋律を奏でている。
そんな気がした。
逢えなかった時間が、
ゆっくりとほどけていく。
その瞬間、
私は改めて、
あなたに逢えた喜びを実感していた。
やがて、ふたりの楽しい時間が始まった。
ビールを飲みながら、
おつまみをつまみながら。
あれこれ取り留めもないことを話しては笑い、
また新しい話題が生まれていく。
ひとつの話が終わる前に、
次の話が顔を出す。
「あっ、そうそう!」
「それでね!」
そんな言葉が、次から次へと踊り出す。
あなたとのお話は、本当に尽きることがない。
不思議なのは、どんな話題であっても、
互いの言葉が自然に響き合っていくこと。
あなたが投げかけてくださる言葉。
それを受け止めて、私が返す言葉。
そして、その言葉にまた、
あなたの想いが重なっていく。
まるで、ふたりで
ひとつの曲を奏でているようだった。
時には軽やかに。
時には穏やかに。
時には思いがけない方向へと
音色を変えながら。
笑い声は弾む音符となり、
優しい眼差しは柔らかな和音となる。
言葉と言葉が重なり、
心と心が呼応する。
気がつけば、ホテルのお部屋いっぱいに、
ふたりの心から生まれた
美しい言葉の旋律が広がっているようだった。
なんて心地よいのでしょう。
なんて幸せな時間なのでしょう。
そして時折、お喋りを中断しては、
あなたに甘えてみたり。
そっと寄り添ってみたり。
ふふっ。
言葉を交わすことも楽しいけれど、
言葉がいらなくなる瞬間もまた、愛おしい。
あなたの腕の中に身を委ねると、
先ほどまで軽やかに踊っていた言葉たちが、
静かに余韻を残していく。
そして、再び聞こえてくる鼓動。
トクン、トクン。
今度は、その音さえも、
ふたりで奏でている
旋律の一部になったような気がした。
窓の外では、秋の夜が静かに深まっている。
けれど、お部屋の中には、
ふたりだけの温かな時間が流れていた。
語り合う喜び。
魅つめ合うときめき。
抱きしめ合う温もり。
そのどれもが、
決して特別に飾り立てたものではない。
ただ、あなたと一緒にいること。
ただ、あなたの笑顔を見ていられること。
ただ、同じ時間を分かち合えること。
それだけで、こんなにも心が満たされていく。
幸せとは、
何か大きな出来事が起こることではなく、
こうした何気ない瞬間が、
いくつも重なり合って
生まれるものなのかもしれない。
そんなことを思った。
秋の夜長。
あなたと熱く抱きしめ合いながら
過ごしたひとときは、
まるで美しい夢を見ているようだった。
楽しい時間ほど、過ぎていくのは早いもの。
まだまだお話ししていたい。
まだまだ、あなたの傍にいたい。
そんな想いを残しながらも、
やがてお別れの時間が訪れた。
でもね。
今日は、
寂しさよりも嬉しさの方が大きいの。
だって、
また27日に逢いに来てくださるんですもの。
今日という日の余韻を胸に抱きながら、
次の再会を楽しみに待つ。
逢うたびに、
心の中に新しい想い出が生まれる。
そして、その想い出が
次の再会へとつながっていく。
そう考えると、お別れの時間さえも、
次の幸せへと続く
小さな扉のように思えてくる。
今日は、本当にありがとうございました。
この街に戻ってきて、
最初にあなたの笑顔に包まれたこと。
あなたの温もりを感じながら、
心ゆくまで語り合えたこと。
そのすべてが、
私にとって大切な秋の一頁となりました。
言葉の旋律は、やがて静けさに還っても、
心に響いた余韻は消えない。
ふたりで重ねた鼓動の記憶も、
きっと今夜の夢の中に
優しく息づいていることでしょう。
また27日。
あなたの笑顔に逢える日を、
心から楽しみにしています。
そのときはまた、
今日の続きのように、
お喋りの花をいっぱい咲かせましょうね。
そして、
ふたりだけの新しい旋律を奏でましょう。
秋の夜は、まだ始まったばかり。
あなたと過ごした夢のようなひとときに、
心からの感謝を込めて。
また、あなたに逢える幸せを胸に。
— Morimura