お客様とお別れしたあとは、 
すぐに次のご予約が入っていたので、
そのままホテルへと向かった。

もう22時近くになろうとしているのに、
外にはまだ昼間の熱気が残っていて、
むしむしと蒸し暑い。
まとわりつくような空気に、
少し息苦しささえ感じるほどだった。

それでも、 
「今夜は、どんなあなたが
待っていてくださるのだろう」
そんなことを
あれこれ思い浮かべながら歩いていると、
足取りは自然と軽くなっていった。

そして、最後のドアが開いた。
迎えてくださったのは、
爽やかな笑顔がとても素敵なあなた。

お顔を合わせてすぐに、
「綺麗ですね」なんて
言ってくださるものだから、
年甲斐もなく、素直に喜んでしまった。 

私の日記を読んで、
わざわざ遠くから
逢いに来てくださったとのこと。
「日記を読んで、
絶対に逢いに行こうと思った。
だから今日は、車を走らせて来たんだ」
そう話してくださるあなたのお気持ちが、
本当に嬉しかった。

私に逢うために時間をつくり、
遠い道のりを越えて来てくださった。
その想いを聞いた瞬間、
胸の奥がじんわりと温かくなり、
同時にドキドキと高鳴っていた。

愛嬌のある笑顔を浮かべるあなたが、
とても自然体で、
なんだかたまらなく可愛らしい。
ご挨拶よりも先に、
思わず私の方から、
ぎゅっと抱きついてしまった。

そばにいるほど母性本能をくすぐられ、
もっと近くで魅つめていたい、
たくさん可愛がってあげたい――
そんな愛おしさが、次々と込み上げてきた。

私がそっと触れるたび、
あなたが素直に感じてくださることが嬉しくて、確かめるように何度も触れてしまった。
そして、あなたから触れられると、
私もまた、可愛らしいあなたの
表情を魅つめながら、
心地よさに身を委ねていった。

年齢には少し差があるけれど、
そんなことを忘れてしまうほど、
ふたりとも自然体だった。 

言葉を交わし、寄り添い、抱きしめ合う。
初めて逢ったはずなのに、
なぜだか初めてのような気がしない。
ずっと以前から知っていた人と、
久しぶりに再会したような、
懐かしくて穏やかな
気持ちにさせてくれるあなただった。

「また絶対に逢いに来るよ」
そう言ってくださったあなた。
その言葉がとても嬉しくて、
私もまた、あなたに逢いたいと思った。

愛嬌のある笑顔も、自然体のあなたも、
もう一度すぐそばで感じたい。
楽しみに待っていますね。

横浜で過ごす最後の夜。
夜空にふいに現れた星のような、
可愛らしくて素敵なあなたとの
出逢いに恵まれ、
ふたりで穏やかに、
そして甘やかな時間を過ごした。

お別れしたあとも、
あなたの笑顔と温もりは胸の奥に残ったまま。
満たされた想いをいっぱいに抱きしめながら、
私は静かな夜の街を帰っていった。