お部屋へ帰ってきた。
今日こそ、熱いお風呂に入って、
ゆっくりオアシス時間。

……のはずだった。
でも、そうはいかなかった。
まず、謎の木①の葉っぱの謎を
解かなければいけない。
それに今日は10:00から
美容院を予約している。
9:50には部屋を出たい。
しかも洗濯は二回。
おしゃれ着洗いと、いつもの洗濯。

洗濯機が回っている時間を考えただけで、あ。
これ、間に合わないかも。
風の向くまま、気の向くまま。
のんびり歩いている場合ではなかった。
せめて8:00までには帰ればよかった。
……と思っても、もう遅い。
とにかく急ごう。

おしゃれ着洗いは少し時短。
普通の洗濯も、あとで時短。
その間にお風呂へ。
髪は洗わなくてもいいと思ったけれど、
汗が気持ち悪い。
結局、シャンプーとトリートメントだけした。

今日は美容院へ行くのだから、
髪は自然乾燥でいい。セットもしない。
そして、メイクをしながら朝ごはん。
今日は簡単につまめる、
からあげクンのマーラータン味。

初めて食べた。
口に入れた瞬間、
ふわっと薬膳のような香りがした。
なんだか、すっぽんのコース料理の
最後に出てくる雑炊の
あの独特の香りに少し似ている。
でも、嫌いではない。

むしろ――辛い。
すごく辛い。
そして刺激的。
私、辛いもの好きだから、
意外とこれ、いけるかも。
もしかしたら本物の酸辣湯も
食べられるかもしれない。
一体どんな料理なんだろう。

そんなことを考えながら、二回目の洗濯へ。
そしてその間に、再び植物探偵。

今朝拾ってきた、あの一枚の葉。
分析結果を読む。
けれど、やっぱり分からない。
可能性の高そうな候補は出てきた。
でも、まだ決め手がない。
こうなったら、もう一度聞いてみよう。

管理している事務所へ電話した。
すると、
今度は担当の部署方へ回してくださった。
ただ、見ているデータベースは同じなので、
すぐに出る答えはやはり同じ。
それでも、少し時間をかければ、
実際に現地を確認して、
また連絡をくださるということだった。
よかった。
それなら、待とう。
無理に今すぐ答えを出さなくてもいい。
そうしているうちに、
二回目の洗濯も終わった。

急いで干す。
一枚。
また一枚。
ああ、なんとか二回分、全部干し終わった。

……と思ったら。
もう出発予定時刻の3分前。
これは、5分か10分くらい遅刻かな。
まあ、美容院なら少しくらい大丈夫。
電話を入れるほどでもなさそう。
だったら、慌てすぎないで行こう。
日陰を選びながら、
のんびり美容院へ向かおう。

美容院へ向かう道を歩きながら、
AIが出してくれた
長い分析結果をのんびり読んでみる。
今すぐ答えが出なくてもいい。
謎が少しずつほどけていく時間も、
これはこれで楽しい。

すると、木陰を抜けてきた風さんが、
ふわりと髪を揺らした。
「そんなに急いで
答えを出さなくてもいいんじゃない?
謎だって、少し待ってあげたほうが、
自分から答えを見せてくれることもあるよ」
そうだね、風さん。
今日はあなたと一緒に、
のんびり待ってみよう。

植物探偵、今日のところは、
「待つ」も捜査のうち。