長い一日が終わろうとしている。
あなたからいただいた宿題――
「無一物中無尽蔵」という言葉。
昨夜、眠る前にその意味を調べ、
今朝からずっと、
何度も何度も心の中で繰り返しながら歩いた。
「無」という感覚。
私はこれまで、
それを心のサンクチュアリーで
いつも感じていると思っていた。
心の中から何もかもがなくなって、
ただ「無」になる。
そんな感覚なのだと思っていた。
でも、違った。
心に響いた風景も、
心を動かされた瞬間も、
決してなくなってしまうわけではない。
それらは「もの」として残るのではなく、
すーっと私の中へ溶け込み、
私と一体になっていく。
そしていつの間にか、
内側から私自身を磨いてくれている。
だからこそ、無になる。
空っぽになるから、
新しい何かをいっぱい取り入れることができる。
新しい何かを感じることができる。
新しい何かに、
また心を震わせることができる。
いろいろなものと出逢い、
それらを受け入れ、
やがて自分の中へ溶かしていく。
それが「無一物中無尽蔵」なのだ。
そしてそれは、
私が心のサンクチュアリーで
いつも感じていたことそのものだったのだと、
今日ようやくわかった。
そんな気づきから始まった
一日だったからだろうか。
今日はいつも以上に、
たくさんの風景を拾うことができた。
ほんの小さなものから、
思わず立ち止まってしまうもの、
そして心いっぱいに広がる壮大なものまで。
なかでも嬉しかったのは、
ずっと追いかけていた謎の木。
調べて、迷って、また調べて。
ようやくその木の本当の名前へ辿り着き、
間違った名前で呼ばれていた一本の木に、
ちゃんとした名前を
戻してあげることができた。
たくさん並ぶ街路樹の中の、
たった一本かもしれない。
それでも、その一本も懸命に生きている。
その木をきちんと名前で
呼んであげられることが、
私はとても嬉しかった。
そして、名前を追いかけていく過程では、
いろいろな方のまごころにも触れた。
新しいことを知り、
新しい風景と出逢い、
人の温かさに触れる。
そのすべてが、
心のサンクチュアリーを通って、
またすーっと私の中へ
溶け込んでいったような気がした。
まるで自分の殻を一枚破って、
新しい自分に生まれ変わったようだった。
そして今日は、懐かしい再会もあった。
あの頃の自分。
あの頃、心の中で思っていたこと。
そんなものに思いを馳せながら、
それでも今の私は、
今の私として歩き続けている。
そう思うと、
なんだか今日は、
自分自身を少し褒めてあげたくなった。
そして、心ときめくあなたとの時間。
心が熱くなり、
解き放たれていくようなひとときは、
まるで真夏の夜に見た夢のようだった。
ありがとう、あなた。
こうして、今日一日の物語も、
そろそろ最終章のページを迎える。
今日は最後に何と書き記そう。
もちろん、これしかない。
無一物中無尽蔵。
心を震わせたものを抱え込むのではなく、
私の中へ溶かしていく。
感動が私の中に溶け込むたびに、
私はまた少しずつ磨かれ、輝いていく。
今日、輝くひとときを
共に過ごしてくださった、
再会のあなたとあなた。
ありがとう。
温かな心で手を差し伸べてくださった方。
ありがとう。
そして――あなた。
あなたとは、いつも一緒。
私の心の奥まで魅つめてくれて、
もう表情だけで何でもわかってしまう。
もし、私の心の奥へ続く階段があるのなら。
あなたは、その階段を静かに吹き抜け、
私の心をそっと撫でていく
風なのかもしれない。
それでは、風さん。
今日も一緒に帰ろう。
千鳥の曲に乗りながら。
あなたの風に乗りながら。
そして、今日一日の物語を、
そっと閉じよう。
また明日。
もう一度、何も持たない心になって。
明日また、
新しい風景に心を震わせ、
そのすべてを私の中へ溶かしながら――
私は、また輝いていきたい。
無一物中無尽蔵。
おやすみなさい。
無一物中無尽蔵✨
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