背もたれを思いきり倒し、
朝ごはんを食べたら
すぐに眠ろうと思っていた。
ところが、なぜかなかなか眠れない。
アイマスクをつけて目を閉じる。
しばらくすると、はっと目が覚める。
アイマスクを外して、
ぼんやりと車内を眺める。
そして、またつけて眠ろうとする。
そんなことを何度か繰り返していた。
車両の自動ドアの上には、
デジタルサイネージがある。
現在地と、
次に停まる駅の名前が表示されていた。
流れていく駅名をぼんやり見ていると、
なんだか初めて見たような気がした。
きっと、
いつもはほとんど眠っていたのだろう。
今日は、このまま和歌山まで仕事に向かう。
月に一度の恒例の打ち合わせ。
横浜から直接向かうことは
ほとんどないけれど、
今回は自分の都合で予定を変えたため、
そのまま和歌山へ向かうことになった。
なかなか寝つけないのは、
そんなことも関係しているのかもしれない。
窓の外を見る。
山の緑が眩しい。
空が、とてもきれいだ。
でも、やっぱり私は少し思う。
この広い青空の足元には、
海が見えたらもっとよかったのにな、と。
しばらくすると、
新幹線が遅れるというアナウンスが流れた。
耳を澄ませて聞いてみると、
到着は3分ほど遅れるらしい。
新大阪では特急に乗り換える予定だ。
3分程度なら、たぶん大丈夫。
でも、もし予定している特急に乗れなければ、
約束の時間に1時間ほど遅れてしまう。
新大阪から和歌山へ向かう特急は、
1時間に1本しかないから。
少しだけ、また緊張が戻ってきた。
私の中では、
16:40頃には自宅へ戻る予定になっている。
そして今日は、
家族と一緒にフレンチレストランへ
行くことになっている。
予約は18:00。
家に着いたら、急いで着替えて
出かけなければならない。
そのレストランには、
私は何度か行ったことがある。
夕暮れ時、
五重塔を眺めながらいただくフレンチ。
静かな、侘び寂びを感じる風景の中に、
洋の美しさが溶け込んでいる。
その組み合わせが、なんとも粋なのだ。
私は仕事の関係で
何度か訪れたことがあるけれど、
家族を連れて行くのは初めて。
横浜ステイを一日延ばして、
少し寂しい思いをさせてしまったから。
今日は、そのお詫びも兼ねて
連れて行ってあげようと思った。
料理だけでなく、
店内の雰囲気や、ホールスタッフの
心をくすぐるようなおもてなし、
そして、ゆったりと時が流れ
非日常を感じるレストラン。
だから、「ちゃんとおめかししておくのよ」
と伝えてある。
普段、家にいることが多い家族だからこそ、
たまにはこんな晴れやかな場所へ
連れ出してあげたい。
きれいな服を着て、
少し背筋を伸ばして、
夕暮れの景色を眺めながら、
美味しい料理をいただく。
そんな時間が、
少しでも心を明るくしてくれたらいい。
窓の外では、
風さんまでついてきてくれているような
気配がした。
そして、空の青がとても眩しかった。
私はその空を魅つめながら思った。
今日、家族がこの空のような眩しい笑顔を、
私に向けてくれたら嬉しいな。
青空の向こうに待つ笑顔✨
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