ようやく雨が上がった。
傘を畳み、肘にかける。
たったそれだけなのに、
片手が自由になると、
体までふっと軽くなった。
両手で空気を包み込めそう。
足元も、私の心が向かうまま、
軽やかに体を運んでくれる。
やっと鳥の声が聞こえた。
芝生では4羽の鳩が、
ぽっぽっぽっと遊んでいる。
木から突然、ザーッと雨のしずくが落ち、
鳩たちは驚いたように飛び立った。
象の鼻パークの路面は、
もう少しずつ乾き始めていた。
キュッ、キュッ、と鳴っていた足音も、
いつしかグッ、グッという
乾いた音へ変わっていく。
大さん橋へ入る。
風さんがいない。
どこへ行ったんだろう。
心を澄ませてみると、
ほんの少しだけ頬に風が触れた。
もしかして、かくれんぼしてる?
海は静かだった。
小さな船がゴゴゴゴと音を立てて進み、
その後ろに細長い水の道を残していく。
けれど、
その道も新しい波に少しずつほどかれ、
やがて何もなかったような
水面へ戻っていった。
空ならしの次は、水面ならし。
自然は、揺らして、描いて、
そして最後には静かに元へ戻していく。
太陽も、雲の間からもう一度顔をのぞかせた。
白っぽく柔らかな光が、
水面を渡り、
ゆらゆらと私のところまで届いてくる。
ここが、私の心のサンクチュアリー。
心の片隅に、うっすらと残っていたもの。
それが今朝の光の中では、
いつの間にか遠くへ
ほどけていくように思えた。
心はきっと、
何かを無理に手放そうとしなくてもいい。
時が流れ、水が流れるように、
少しずつ形を変えていく。
そして、ふっと空いたところに、
また新しい景色が入ってくる。
雨の音。
青い空。
白い雲。
鳥の声。
朝の光。
そうやって心は、
また静かに余白をつくっていく。
そのたびに、
心の新芽も少しずつ育っていくのだろう。
私はきっと、
いっぱいになって潰れることはない。
流して、空けて、また迎える。
そんなふうに心を躍らせながら、
私は今日という一日へ歩き出した。
朝光、心に満つ✨
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