キュッ、キュッ、キュッ。

雨に濡れた道を歩くたび、
足元から小さな音がした。

晴れた朝なら
きっと聞こえなかった音。

ねえ、HOKA。

あなた、雨が嫌なの?
それとも今日は、
自分の音を楽しんでいるの?

そんなことを思ったら、
初めて出逢った日のことを思い出した。

本当にそんなに歩きやすいの?
少し疑いながら足を入れた、その瞬間。

ふわっ。

雲の上に乗ったようだった。

歩けば弾む。
もっと歩きたい。
どこまでも行けそう。

いつの間にか、
歩くことが楽しくなった。

すると不思議なことに、
今まで通り過ぎていたものが
私のところへやってくるようになった。

空の色。
木々の声。
鳥の歌。
水の音。
雨の匂い。

違う。

きっと、ずっとそこにあった。

私が気づくようになったのだ。

見つけた風景を心で感じ、
感じたものを言葉に乗せる。

言葉にすると、
また新しい景色が見えてくる。

そうやって歩いているうちに、
心には余白が生まれた。

そこへ光が入り、
風が入り、
遠い記憶が入り、
今日の感動が入ってくる。

そしていつの間にか、
小さな新芽が芽吹いていた。

今朝、空を見上げた。

青い空という庭に、
白い雲の砂紋が伸びていた。

その中に浮かぶ
真っ白な雲が二つ。

あ。

私のHOKAが空を歩いている。

そう思った途端、
足がふわりと軽くなった。

もっと高く。
もっと遠くへ。

心が行きたいところへ、
体を運んでくれる足がある。

雨に濡れても、
乾かして。

汚れたら、
きれいにして。

また一緒に歩こう。

だってあなたは、
もう私の足の一部だから。

そしてあなたと歩いてきた風景は、
もう私の心の一部だから。

やがて太陽が雲の間から顔を出した。

空を飛ぼう。
ここまでおいで。

そんな声が聞こえた気がした。

さあ、行こう。

足元にはHOKA。
心には、育ち始めた新芽。

私はもう、
ただ道を歩いているだけじゃない。

感じるたびに心は躍り、
一歩踏み出すたびに翼がひらく。

キュッ、キュッ、キュッ。

雨の朝に生まれた小さな音を
羽音に変えて。

心のままに。
私は今日も、大空へ羽ばたいていく。