メイクを終えたあとも、
私はしばらくテレワークの世界に
身を沈めていた。

今日片づけたい仕事は、
朝から取り組んでいたものとは別に4つ。
できれば全部終わらせて、
メールで送ってしまいたい。
そんな気持ちもあったけれど、
とりあえず2つを仕上げたところで
時計を見ると、11時を少し回っていた。

今日は12時からご予約をいただいている。
遅くても11時半には部屋を出て、
今日の居場所を整え、
ひと呼吸置いてからホテルへ向かいたい。

そう考えると、
ここで欲張って
3つ目に手を伸ばす必要はないような気がした。
今日が納期というわけではない。
残りは明日、またぼちぼち進めればいい。
今週中に4つとも終われば、それでいい。

先へ、先へと走ってしまうと、
心まで一緒にせわしなくなる。
心にゆとりがなくなると、
見えるはずのものを見落としたり、
しなくてもよい失敗をしてしまったりする。
横浜で過ごす時間は、
仕事だけではなく、
そんなことまで私に教えてくれている。

やっぱり、
メイクを先に済ませておいてよかった。
あとは着替えて、
荷物をまとめ、
ゴミを片づけて部屋を出る。

そう考えると、
ちょうど11時半少し前には出発できそうだ。
さっきまで仕事に詰まっていた心の中に、
小さな余白が生まれた。

今日は12時から出勤しています。
お誘いをお待ちしています。

12時からご予約くださったあなた。
いつもありがとうございます。
横浜へ来るたび、
今回はいつ逢えるのかな、
と密かに楽しみにしています。
今日も、
あなたの優しく柔らかな空気に包まれながら、
心地よい時間を一緒に過ごせたら嬉しいです。
ドアの向こうで、
あなたの笑顔に再会できることを
楽しみにしています。

そして17時半からご予約くださったあなた。
今回もありがとうございます。
私が横浜へ来るたび、
毎回、いつも逢いに来てくださることが
本当に嬉しい。
今回のステイでは、
あなたに逢える日を
ずっと待ち遠しく思っていました。
そして今日お会いする前から、
次に15日から来るときの予約まで
15日に入れてくださってありがとう。
そして、いつも長い時間、
たくさんのことを語り合えるのも
楽しみのひとつ。
今日はもしかすると、
二人で奈良の都を旅するような時間に
なるかもしれませんね。

そして21時45分からご予約くださった、
初めましてのあなた。
ありがとうございます。
どんな方なのだろう。
どうして私を選んでくださったのだろう。
まだお逢いしていないからこそ、
想像する時間も楽しいものです。
そして実は、
今日伺うホテルも楽しみにしています。
毎朝歩いている海のそばにある、
いつか入ってみたいと思っていたホテル。
今朝もその前を歩きました。
朝には外から眺めていた場所へ、
今夜は自分の足で入っていく。
そのドアの向こうに、
まだ知らないあなたが待っている。

今日は、そんな3つの扉が開く日。
今はただ、先へ急ぎすぎず、
心に少し余白を残したまま、
最初の扉へ向かおうと思う。