「さあヒカリン、始まりました。
森村さんのオアシス時間!」
「……でもモリリン。
これ、本当にオアシスなの?」
朝のウォーキングから戻った森村さん。
そこからの動きが、速い。
まずお風呂にお湯をためる。
冷凍ご飯をチン。
洗濯機に洗剤をセット。
そして今日着る服、下着、靴を準備。
昨日から服は決めていたはずなのに、
今朝になって突然変更。
「出た。森村さんの朝の衣装替え」
「服が変わると、
下着も靴も全部変わるんだよね」
「組み合わせ考えるの、好きだから」
服を脱いで、洗濯物をネットへ。
そのままお風呂へ。
ところが――
「ヒカリン、見て。
お風呂でもスマホ持ってる」
「日記書いてる!」
今日は朝から物語が多すぎる。
お風呂から出ても、汗が引くまでまた日記。
そして今度は、おにぎり作り。
今日も二つ。白いご飯に明太子をたっぷり。
「ちょっと大きくない?」
「明太子、入れすぎたんじゃない?」
ぎゅっ。
ぎゅっ。
ぎゅっ。
立派なおにぎりが二つ完成。
お風呂を洗い、洗濯機をスタート。
今日は時短ではなく標準コース。
そしてようやく――コーヒー。
「珍しい。休憩してる!」と思ったら。
「違うよモリリン。
パソコンが立ち上がるの待ってるだけ」
やっぱり。
メールを確認。
返信。
また確認。
また返信。
気になることは付箋へ。
USBも取り出した。
「何かデータ入れてる」
「封筒も出てきたよ」
「コンビニで印刷して、
郵送する気じゃない?」
次から次へ。
モリリンとヒカリンは、
だんだん心配になってくる。
「森村さん、
自分があと何しなきゃいけないか
分かってるのかな」
「でも……分かってるみたい」
ちゃんと頭の中には、
今日やることが並んでいるらしい。
「一回、森村さんの頭の中、覗いてみたいね」「絶対いっぱい付箋貼ってあるよ」
ふふ。
そして、何やらまた手帳を見ながら
考え込んでいる。
「勝烈庵、いつ行こうかな……」
そんな声まで聞こえてくる。
「まだ考えてるんだ」
「出勤予定も気になってるみたい」
でも、空いた時間ができれば寝るか、
若様の世界へ行くか。
「昨日は若様だったの?」
「その前は棟方志功と十番館の世界」
「森村さん、忙しいねえ」
昨日は二十歳。
今日は『初恋』を思い出して少女。
「今日は何歳なんだろう」
「十一歳くらい?」
「あははは」
そのとき。
ピーピーピー。
洗濯終了。
「あっ、森村さん走った!」
「次は洗濯干し!」
そしてまた、テレワークへ戻っていく。
「ヒカリン。
これ、オアシスタイムというより……」
「追い込みタイムだね」
「でも、忙しく動いてる方が
森村さんらしいのかも」
あとは洗濯物を干して、
仕事を片づけて、メイク。
今日はちゃんと、
ゆっくりメイクできるでしょうか。
それではこれにて、
森村さんの
バタバタ・オアシス時間実況中継、終了!
ナビゲーター、モリリン。
アシスタント、ヒカリンでした。
— Morimura
森村さんのオアシス時間実況中継|追い込みタイム?
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