名前からして、なんだか縁起がいい。
金亀。
滋賀・豊郷町の岡村本家が造る酒。
安政元年創業というから、
ずいぶん長い時間を
この土地で酒と向き合ってきた蔵だ。
面白いのは、
金亀には40、50、60、70、80、90と
数字が並ぶこと。
これは年号でも順番でもなく、精米歩合。
40なら、米をかなり磨いて。
90なら、玄米に近い姿をたっぷり残して。
同じ「金亀」なのに、
削り方ひとつで味わいが変わる。
なんだか人みたいだと思った。
磨けば磨くほど、
すっきりとした顔を見せるものもある。
けれど、あまり削らず、
その人らしさをたっぷり残した方が、
深い味になることもある。
岡村本家では、
搾った酒の色や旨味を
なるべく残す造りを続けているという。
新緑のような淡い色から、
熟成とともに紅葉の始まりのような薄茶色へ。
この話を知ると、
金亀という酒が、
急に季節を持ったように思えてくる。
春の緑。
秋の茶。
近江の米。
鈴鹿山系の伏流水。
ただ透明で、ただきれいな酒ではなく、
その土地の色まで
一緒に瓶の中へ閉じ込めているような酒。
私なら、まずどれを選ぶだろう。
華やかな藍40。
爽やかな黒50。
コクの茶70。
それとも、
米そのものを感じる白80や青90。
数字を見ながら迷う時間まで、
なんだか楽しい。
日本酒の小径。
今日また一本、
近江の里へ続く細い道を見つけた。
金亀。
名前の通り、
ゆっくり、長く、
その味を追いかけてみたいお酒だった。
— Morimura
日本酒の小径|金亀🍶
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