キラキラした日差しの中、
愉快な仲間たちと、
こちらの街での朝を迎えた。

けれど、
私だけは朝からとても慌ただしい。

家に着くと、
家族の笑顔に迎えられた。
「ただいま」
「おかえり」
その言葉を交わして、
作ってくれていた目玉焼きを、
ぱくり、ぱくり。

本当なら、
もう少しゆっくり味わいたかった。
もう少し、
帰ってきた実感の中にいたかった。
でも今日は、
9時から来客がある。
だから最初から、
9時までには出社するつもりだった。

荷物だけ置いて、
すぐに家を飛び出した。

ついさっきまで、
風さんの光に包まれて、
モリリンと手をつなぎ、
ヒカリンをキャリーケースに乗せて
歩いていたのに。

一転。
私はもう、
ビジネスモード。

まだ少し、
あの“淡い”の中に漂っていたかったけれど、
どうやら今日のスケジュールは、
そんな余白を与えてくれないらしい。

会社へ急ぐ。
久しぶりのオフィス。
見慣れているはずの場所なのに、
なぜか今日はとても新鮮に目に映った。

私の顔を見るなり、
「おはようございます」と声が飛んでくる。
そして、さらに、
「今日はすごく機嫌よさそうですね」
「何かいいことあったんですか?」
そんな余計な一言まで付けてくる
スタッフもいる。
……まあ、
嬉しいけどね。

どうやら私の顔には、
まだ朝の光が残っているらしい。
そんなことを思っているうちに、
9時からの来客が到着したとの知らせ。
「先に対応しておいて」
そうお願いして、
私は自分の部屋へ入った。

ほんの10分。
たった10分だけ。
自分の中に残っている
ふわふわした気持ちを整える時間。
ついさっきまで、
私はまだ“淡い”の中にいた。

こちらでもなく、
あちらでもなく。

帰ってきたばかりの自分と、
これから仕事をする自分との間。

その境目に、
ほんの少しだけ立ち止まる。

深く息を吸って。
背筋を伸ばして。
さあ。
そろそろ行こう。
会議室へ。

そしてそれが終われば、
10時までには自宅へ戻る。

そこからは、
家族との一日。

今日、
私がこちらへ帰ってきた理由。
その時間をちゃんと過ごすために、
私は今朝、
始発に乗って帰ってきたのだから。

— Morimura