日記を書いている合間に、
30分ほど眠った。

そしてまた、
少し書いて、
もう30分ほど眠った。

合わせて1時間くらい、
眠れたのかしら。

まだ頭は少しぼんやりしている。
でも、
あと10分ほどで到着らしい。
ちょうどいいタイミングで
起きたのかもしれない。
ぎりぎりまで寝て、
またパタパタしながら降りるのは嫌だから。

少しずつ、
身体も頭も、
こちらの町へ帰る準備を始める。

そういえば。
この電車に乗ると、
降りるときによく乗車口で
一緒になるお兄さんがいる。
私の中では、
どこか“トランスポーター”のような
不思議なお兄さん。

もうずいぶん長い間、
この電車に乗ると、
なぜか降りるときにだけ顔を合わせる。

少し前から、
ほんの少しだけ言葉を交わすようにもなった。

今日も、
たまたますれ違った。
久しぶりに顔を見た。
そして私に気づくと、
お兄さんもこちらを見た。
私は「久しぶり」と声をかけた。

知っているようで、
知らない。
知らないようで、
知っている。
約束をしているわけでもない。
今日乗っているのか、
乗っていないのかも、
顔を見るまではわからない。

それなのに、
何度も同じ電車の、
同じような場所で出会う。
これもきっと、
小さな奇縁というものなのだろう。

不思議な巡り合わせ。
今では、
電車を降りるときの
小さな楽しみのひとつになっている。
やがて駅に着いた。

ホームに降りた瞬間、
目に飛び込んできたのは、
外国人観光客の大きな集団。
どうやら何かのツアーらしい。
かなりの人数。
その周りにも、
あちらこちらに外国人観光客。
そして、
朝から足早に歩くビジネスマン。
相変わらず、
人が多い。

その光景を見ながら、
ふと思った。
今の私は、
どちらに分類されるのだろう。
観光客でもない。
ビジネスマンでもない。
そのどちらでもない場所。
やっぱり私は、
ふたつの間の“淡い”にいるのかもしれない。

淡い。
境目。
こちらでもなく、
あちらでもない場所。
私はどうやら、
そういうところにいるのが、
よほど好きみたい。

そして駅の外へ出る。
朝の光。
その光の中に、
風さんが待っていてくれた。

銀の姿が、
朝日に照らされて、
いつもよりいっそうキラキラと輝いている。
「風さん、着いたよ!」
私とモリリンとヒカリン。
三人で、
風さんに向かって手を振った。

風さんのまとった光が、
そのまま今日一日の先まで
伸びているように魅えた。

今日は、
家族と過ごす一日。
その一日に、
もう朝から光が差しているような気がして、
心が弾んだ。

私はモリリンと手をつなぐ。
ヒカリンは、
ちゃっかり私のキャリーケースの上。
そして、
そんな三人を包み込むように、
風さんが、ふわり。

森村さんと愉快な仲間たち。
やっと、
こちらの町に到着。
さあ、4人そろって。
今日も素敵な一日に。

— Morimura