長い一日が終わろうとしている。

昼間、あれほど鮮やかだった横浜の空。

青、白、緑。

それぞれの色が美しく響き合っていた世界も、
夜になると輪郭を失い、
淡く滲んだ光の中へ溶けていった。 

不思議なものね。
はっきり見えていた昼間より、
ぼんやりとした夜の方が、
自分の心の奥まで見渡せるような気がする。

今日、私の心に残ったのは、
誰かの優しい眼差しや、触れ合った温もり。

そして、言葉を交わすうちに、
いつの間にか心が近づいていく喜びだった。

形のないものほど、
心の中に深く残ることがある。
それは、言葉も同じなのかもしれない。

ふとした気づきから記憶が蘇り、
記憶から新しい言葉が生まれる。

そうして小さな物語を重ねているうちに、
私は自分だけの世界を紡いでいた。

今夜、もうひとつ気づいたことがある。
すべてのものに、
はっきりとした輪郭を与えなくてもいい。

曖昧なものは、曖昧なまま。
見えない星は、見えないまま。

その向こうに確かな光があることを
知っていれば、それでいい。

明日は和歌山へ。
幾度も訪れた、見慣れた風景。

けれど、明日には明日の風が吹き、
明日だけの物語が待っている。

今夜は、もう何も探さなくていい。
心の中に灯った小さな光を抱きながら、
静かに今日のページを閉じよう。

今日という一日もまた、
いつかへ続く道の途中。

そして、その道は明日も続いていく。


長歌 

澄む空に
ひかりを受けて
手のぬくみ
胸にしまいて

群青の
灯りは滲み
見えぬ星
心に描き

紡ぐ糸
明日へと伸びて
明日待てば
なじみの道に
新しき風

反歌

秋寒に
輪郭ほどく
街の灯よ
見えぬ星まで
心にともす

— Morimura