長い一日が終わろうとしている。

今朝、6時1分。
夜明け前の長い散策を終えて帰宅した。
午前1時59分に目覚め、
星空を追いかけ、
記憶の中を旅し、
気づけば心も身体も
ずいぶん遠くまで歩いていた。

けれど、感傷に浸っている暇はない。
今日は朝から予定がぎっしり。
そう、いつものオアシス時間ではなく、
B&Bタイム!
Busy & Beauty。

忙しくたって、美しく。
なんとも欲張りな朝の始まりである。

まずはお風呂に飛び込み、
さっぱりしたところで朝ごはんの支度。
カレイの西京焼きに、具だくさんのお味噌汁。
卵料理に、色鮮やかな野菜たち。
あれこれ手を動かしながら、
時計をちらり。
あら、もうこんな時間。

けれど、
なんとか予定どおり7時30分にはすべて整った。そして、家族と囲む朝の食卓。
慌ただしく準備した甲斐あって、
そこからはゆっくりと1時間。
お料理を味わい、
取り留めのない話を交わす。

ああ、よかった。
忙しいからこそ、
ゆっくり過ごしたい時間がある。
そんな当たり前のことを、
改めて感じた朝だった。

8時30分。予定どおり家を出る。
まずは恒例の定例会。
こちらは20分ほどで終了。
その足で急いで戻り、
10時からの会議に臨んだ。

今日は少し発表することもあった。
順番を調整していただき、
早めに自分の出番を迎える。
人前で話すことは、
昔からそれほど苦にならない。
むしろ、自分の考えを整理し、
言葉にして伝えることは好きな方だ。

何を伝えたいのか。
どんな順序で話せば、わかりやすいのか。
頭の中で小さな戦略を描き、
その戦略に沿って言葉を組み立てていく。

あらまあ。
ここでも、今朝の「戦略と戦術」が
登場してしまった。

無事に発表を終え、
予定していたところで会議を
中座させていただく。
本来なら、そのあとには会食も控えていた。
けれど、今日は遠慮することにした。

さて、次の任務は旅立ち。
一旦戻って荷物を整え、昼過ぎの新幹線へ。
ようやく座席に腰を下ろしたときには、
なんだか大きな仕事を
一つ終えたような気分だった。

窓の外を流れる景色。
次々と後ろへ遠ざかっていく街並み。
今朝は、数直線の上を
過去へ未来へと旅していたけれど、
今度は本当に移動している。

人生とは、なんとも忙しいものだ。
けれど、不思議と心は軽かった。
今日やるべきこと。
明日へ持ち越してよいこと。
そして、その先で考えればよいこと。
少しずつ整理してみれば、
何もかも今日一日の中に
詰め込む必要はないのだと気づく。

時間を上手に使うことは、
何かを詰め込むことばかりではない。
あえて余白を残しておくことも、
大切なのだろう。

やがて、いつもの宿へ到着。
チェックインを済ませ、
ようやくひと息ついた。
見慣れた部屋。

旅先でありながら、
どこか懐かしく、落ち着く空間。
荷物を置いた途端、
身体からふっと力が抜けていく。
ああ、やっと着いた。

そして18時。
今夜は久しぶりに
顔を合わせる方々との夕食会。
会場は、ホテルの最上階にあるレストラン。
少しお洒落をして出かけたくなるような、
落ち着いた大人の空間だった。

窓の向こうには、夜の街。
そこに灯る無数の明かりを眺めながら、
懐かしい顔ぶれと近況を語り合う。
お料理も美味しく、会話も弾む。

特別に気取った雰囲気ではないけれど、
居心地のよい時間が流れていく。

そういえば、
このレストランを訪れるのも久しぶり。
こんなところで、
ゆっくりお食事をいただくのも悪くない。

けれど、ふと思った。
いつか、こんな夜景を眺めながら、
素敵なあなたと、ただ二人で過ごしてみたい。
難しい話も、仕事の話も抜きにして。

少しお洒落をして、
美味しいものをいただきながら、
何でもない会話を楽しむ。

そんな時間も、きっと素敵だろう。

あらまあ。

今度は、ちょっぴり恋人気分。
なんとも欲張りな私である。

けれど、今朝の私は、
地上に輝く無数の星を魅つめながら、
自分自身も
輝きを失わずにいたいと願っていた。

その思いは、今も変わらない。
忙しく過ごす時間も。
誰かと笑い合う時間も。
そして、ひとり静かに
自分の心と向き合う時間も。

どれも、私という人生を彩る
大切なひとときなのだから。

さて。

明日も朝から予定が続く。
午前10時には打ち合わせが始まり、
午後までいくつかの用事を
済ませることになっている。

そのあと、また次の街へ。
そして18時からは、
いつもの場所で新たな扉を開く。

まだまだ旅は続く。
けれど、今夜はもう、
明日のことを考えすぎるのはやめよう。

今朝、空いっぱいに広がっていた白い余白。
あの余白には、
今日一日のさまざまな出来事が、
少しずつ色を重ねていった。

慌ただしい朝の白。
旅立ちの空色。
そして、夜の街に灯る琥珀色。

今日という一日は、
私の心の余白を、
また一つ豊かに彩ってくれた。

さあ、そろそろ今日の物語も幕を下ろそう。
明日は、どんな色を重ねていくのだろう。
そんなことを楽しみにしながら、
今夜は静かに目を閉じたい。


長歌

ゆ明けの空
群青の名残
胸に抱き
慌ただしき日を
駆け抜けて
旅の窓辺に
心ほどけば
宵の街
幾千の灯が
静かに揺れて
今日という日の
余白を染める

反歌

白き朝
胸にたたみて
宵の窓
灯る街にも
星を見つけむ

— Morimura