森村、朝の扉を開きます〜星を追わない、旅の朝〜
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昨夜は、ホテル最上階のレストランでお食事。
久しぶりにお逢いする方々と、
懐かしい話や近況報告に花が咲いた。
そのあと、場所をバーへ移して、
さらに2時間。
なんとも賑やかな夜だった。
お部屋に戻ったのは、23時頃。
ああ、今日はよく喋った。
そう思いながらベッドに横になった。
ところで、旅先のホテルというと、
よく耳にする言葉がある。
「枕が変わると眠れない」
あら、なんだか繊細で上品なお悩み。
私も、そんなことを考えてみた。
ところが、どうだろう。
いつでも、どこでも、
どんなときでも眠れる私。
枕が変わろうが、部屋が変わろうが、
そんなことはお構いなし。
どうやら、今夜も例外ではなかったらしい。
こてん。
そのまま夢の世界へ。
そして今朝。
ふと目を覚ますと、
見慣れない天井が目に飛び込んできた。
あれ?
ここはどこ?
一瞬、頭の中が真っ白になった。
ああ、そうだった。
私は今、旅先のホテルにいるのだった。
時計を見ると、7時少し前。
アラームが鳴る直前だった。
なんと、途中で一度も目覚めることなく、
7時間半ほど眠っていたらしい。
我ながら、なんという睡眠力!
ついこの間まで、午前2時前に目覚めて、
夜空の星を追いかけていた人間と、
同一人物とは思えない。
あちらでは星を追いかけ、
こちらでは睡眠を追いかける。
どうやら私の好奇心も、
旅先では睡眠欲に勝てなかったらしい。
けれど、おかげで頭はすっきり。
身体も軽い。
さて、今日も一日が始まる。
このホテルとのお付き合いは、
ずいぶん長い。
初めて訪れた頃とは、
建物も室内の雰囲気も、
すっかり変わってしまった。
改装を重ねるたびに、
よりモダンでスタイリッシュな空間へと
姿を変えている。
決して広いお部屋ではない。
けれど、洗練されたインテリアや、
落ち着いた色合いが、なんとも心地よい。
旅先でありながら、
どこか馴染みのある場所。
いつの間にか、
私にとってそんな存在になっていた。
さて。
昔はホテルの朝食も楽しみの一つだった。
朝からあれこれ選んで、
思いっきりいただく。
そんな時間も好きだった。
ところが最近は、ちょっと違う。
朝食を食べに行く時間があるなら、
もう少し眠っていたい。
あらまあ。
食欲より睡眠欲。
なんとも現実的な選択である。
というわけで、
昨夜のうちに朝食を調達しておいた。
まずは朝のお風呂。
温かいお湯に包まれ、
昨夜の疲れをゆっくり洗い流す。
髪を乾かし、バスローブを羽織って、
ようやく朝ごはん。野菜ジュース。
ゆで卵を2個。
そして、温かいコーヒー。
なんとも簡単な朝食だけれど、
今の私にはこれで十分。
もう少しお腹が空いたら、
サンドイッチをいただくことにしよう。
テレビから流れる朝の情報番組を眺めながら、
メイクを始める。
その合間に、メールもチェック。
あれもこれもと思っているうちに、
時計の針はどんどん進んでいく。
2時間も余裕を持って起きたはずなのに。
あら、不思議。
どうして朝という時間は、
こんなにも短いのだろう。
いつもの朝なら、
すでに長い散策を終えている頃。
けれど旅先では、
最初から朝のウォーキングは
予定に入れていない。
だから時間に余裕があるはずなのに、
その余裕は、
どうやらそっくり
睡眠に姿を変えてしまったらしい。
時間は同じでも、
その使い方によって、一日の表情は変わる。
夜明け前の星空に心を奪われる朝もあれば、
柔らかなベッドの中で
夢の続きを楽しむ朝もある。
どちらも、私の大切な朝なのだ。
さて、そろそろ出発の準備。
今日は10時から会議が始まる。
昼食を挟んで、午後も打ち合わせが続く。
それらを終えれば、今回の予定もひと区切り。
あとは次の街へ移動するだけ。
チェックアウトを済ませ、
キャリーケースはフロントに預けておこう。
仕事の段取りは、
もう頭の中で組み立ててある。
戦略を描き、戦術を展開する。
今朝もまた、
私の好きな作戦遂行の時間が始まる。
そして、夕方には懐かしいお部屋へ。
ほんの数日留守にしただけなのに、
なんだかずいぶん久しぶりのような気がする。
きっと、扉を開けた瞬間、
いつもの空気が迎えてくれるのだろう。
前回の滞在の余韻が、
まだほんのり残っているかもしれない。
そんなことを想像すると、
少し嬉しくなってきた。
旅先のホテルで目覚め、
慌ただしく支度を整える。
そして、やるべきことを一つずつ終えて、
また次の場所へ向かう。
昨日のゼロから、今日のゼロへ。
いつもの朝とは違っても、
新しい一日は確かに始まっている。
さて、そろそろ行きましょうか。
今日の任務を無事に終えたら、
あのお部屋の扉を開けて、
こう言いたい。
「ただいま」そのひと言を楽しみに。
さあ、旅先の朝の扉を開こう。
— Morimura