朝から、ずっと楽しみにしていた鰻そば。
そばを茹で、出汁を作り、
鰻は弱火でそっと焼きながら温める。
家族には、ご飯の上に熱々をのせて鰻丼に。
私は、茹であげた十割そばの上に鰻をのせ、
作った出汁を静かにかけた。
仕上げに九条ネギをちょこんとのせ、
山椒をふわり。
見た目は、なかなか艶やかに仕上がった。
久しぶりの十割そばも、
胸が弾むほど楽しみだった。
家族からは、
「せっかくの鰻がもったいない」
なんて言われたけれど、
私には、
それすら少し贅沢な遊びのように思えた。
嬉しくて、いつもより少し大きな声で、
「いただきます」
まずは、出汁をひと口。
自分で作ったものだけれど、
これがなかなか悪くない。
次に、そばをずるずるといただく。
コシがあり、風味も豊かで、
十割そばらしい香りがふわっと広がる。
そして、いよいよ鰻へ。……
えっ、どういうこと?
蒲焼きの、
あの甘辛く艶めいた味わいがしない。
どうやら、そばの出汁に
きれいさっぱり洗われて、
蒲焼きだったはずの鰻は、
まるで白焼きのようになってしまったらしい。
そういえば、ニシンそばの身欠きニシンは、
しつこいほどに味が染みている。
だからこそ、出汁の中でも
負けずに存在感を残してくれるのだ。
なるほど。
鰻の蒲焼きは、
そばの上より、やっぱりご飯の上が似合う。
朝から思い描いていた贅沢な鰻そばは、
少し切ない教訓を残して終わった。
もったいないことをしてしまったわ。
もう、鰻そばはやめておこう。
次に鰻をいただく時は、
迷わず白いご飯の上で、
艶やかな蒲焼きとして味わいたい。
夜のひとり言〜鰻そば、夢のあと〜
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