ああ、疲れた。

気づけば、もう2時間ほど
集中して仕事をしていた。  

目はしょぼしょぼしてくるし
考えてばかりいたせいか、
頭の中までずっしり重たい。
それなのに、まだ終わらない。

仕事を進めている途中で、
「あれ、どうだったっけ?」と、
ふと気になることが出てくると、
つい寄り道をしてしまう。

ひとつ確認するだけのつもりが、
あちらへ寄り、こちらへ寄り、
気づけば寄り道の先にある
細い路地へと入り込んでいる。
そして、さらに奥へ奥へと進んだ挙げ句、
「あれ? 私、どこにいたんだっけ?」と、
仕事の迷子になってしまう。

けれど、こうして気になったことを
一つずつ確認しているおかげで、
うっかりや見落としは減りそうだ。
やっぱり、落ち着いて
仕事に向き合える時間があるのは
いいものだと思う。

細い路地に入り込んでも、
今日は迷子になりきる前に、
どうにか元いた場所へ戻ることができた。
そこからまた、
着々と仕事を進めていたのだけれど——

とうとう、開けてしまった。
ずっと見ないふりをしていた、
8月のスケジュールという名の
パンドラの箱を。

会社のお盆休みは、すでに決まっている。
問題は、そのお休みを
どちらで過ごすかということ。

家にいて、ご先祖さまが
帰ってくるのを迎えるのか。
それとも横浜へ行き、
神秘な世界に包まれる朝のなかを歩き、
朝そばを楽しみながら、
あなたと過ごす時間を心待ちにするのか、

考えると、寂しそうな家族の顔が浮かぶ。

その一方で、きらめく横浜の海や街が浮かび、
大岡川の流れが見え、
湯気の立つ朝そばまで目の前に現れる。
うーん、悩む。

実は、ここでずっとつまずいている。
7月の初めから、
お盆休みをどちらで過ごすか
決められないままなのだ。
ここさえ決まれば、
8月のスケジュールは、
きっとあっという間に埋まる。
状況を見てから決めようと思っているうちに、
ずるずると時間だけが過ぎ、
もう7月も後半になってしまった。

家族の顔も立てて、
自分のしたいことも諦めない。
半分は家、半分は横浜。
そんなハーフ・アンド・ハーフも
悪くないかもしれない。

けれど、
お盆休みの真っただ中に移動するのは、
混雑を考えると少し危険な気もする。
悩む。
悩む。
考えれば考えるほど、
パンドラの箱の奥から、
また新しい悩みが顔を出す。 

とはいえ、ここで立ち止まっていても
仕事は進まない。
ひとまず箱の蓋を、
そっと閉じることにした。

答えの出ない宿題はいったん脇へ置いて、
今は別の仕事へ戻ろう。
迷いながらでも、一つずつ前へ。
今日のところは、それでよしとする。