耳をくすぐる、
やわらかなメロディーの余韻。

私の手を引く風。

仕事へ向かう人たちの流れに逆らうように、
私は、さっき歩いてきた道を戻っていく。

同じ道。
でも、もう同じ道ではない。

時が流れ、
景色は変わり、
私も少しずつ変わっている。

未来へ向かって歩く。
たどり着けば、そこは現在になる。
そして現在は、静かに過去へと流れていく。

だから、来た道を戻ることは、
過去へ戻ることではない。
それもまた、未来へ進むための道。

迷ったっていい。
回り道をしてもいい。
寄り道をしてもいい。
途中で立ち止まって、
行き先を変えたっていい。

そこでまた、
もう一回。
もう一回。
歩き出せばいい。

やり直した先には、
さっきまでは見えなかった景色がある。
新しい気づきがある。
新しい出逢いがある。
心を動かすものがある。
そして、
思い描いていたものとは少し違う未来が、
そこに待っていることもある。

未来は、最初から決めつけるものでは
ないのかもしれない。

まっすぐ一本の道を、
何があっても進み続けることだけが、
前へ進むことではない。

時には間違う。
時にはつまずく。
思うようにいかない日もある。

それでもいい。
過去へ戻るのではなく、
そこからまた未来へ向かえばいい。

もう一回。
もう一回。
何度でも。立ち上がる。
歩き出す。

そして、自分が歩ける道を、
自分の手で描いていく。

歩きながら、少しずつ線を引き直していく。
違うと思ったら、向きを変える。

もっと心が動く景色を見つけたら、
そちらへ進んでみる。
未来は、一度描いた絵を
守り続けることではない。

歩きながら、何度でも描き直していい。
何度でも、新しくしていい。

安全に。
穏やかに。
間違わないように。
それだけが人生ではない。

転んでもいい。
迷ってもいい。
遠回りしてもいい。
大切なのは、
もう一度、
顔を上げること。

そして、
もう一回。
もう一回。
そう言いながら、
自分の未来へ向かって、
また一歩を踏み出すこと。

今朝、
一曲のメロディーが、
そんなことを私に教えてくれた。
未来は、
決められているものではない。

歩きながら、
自分で描いていくもの。

だから私は、
これからも何度でも歩く。

もう一回。
そして、もう一回。
そのたびに、新しい未来へ。