神様のポケットから繰り出された大きな風を、
ぱーっと浴びたような気がした。
その瞬間、
私は幻想の世界から現実へ戻ってきた。
時計を見る。
もうすぐ7時。
あ、やばい。
今日は会社へ行く前に、
家族の運転練習に付き合う約束があった。
久しぶりの練習だ。
そのお礼に朝ごはんを
ご馳走してもらえるから
朝食の支度はいらないけれど、
約一時間半は必要になる。
昨日、家族がもじもじしながら
私に頼んできた。
「いつでもいいし、明日じゃなくてもいいし、
来週でもいいから、
また家にいるときに
運転の練習に付き合ってね」
なんだか言いにくそうな、
遠慮がちな声だった。
その声を聞いた瞬間、私は思った。
無理してでも明日行ってあげよう。
隣に乗っているだけとはいえ、
今日の私にとって一時間半は決して短くない。
でも、一時間半という数字だけで見れば
「取られる時間」でも、
今日の終わりに振り返ったら、
案外そこに神様のポケットから
転がり落ちた何かがあるのかもしれない。
その後には10時から社内会議、
お昼の会食、
スタッフとのミーティング。
昨日作ったWBSと進捗管理表を説明しながら、これから先の仕事を一緒に描いていく。
そして夕方には、
二か月に一度、
私が幹事を務める会合が待っている。
準備も司会進行もあるから、
遅くとも16時、
できれば15時には会社を出たい。
こうして頭の中に今日の予定を並べてみる。
これも一つの未来の地図なのだろう。
でも、ふと可笑しくなった。
今朝、空ではお使いの神様が、
私に見られてはいけない
未来の地図を慌てて拾っていった。
それなのに現実の私は、
WBSや進捗管理表を作り、
これから起こることを
できるだけ見えるようにしようとしている。
仕事の未来は、できるだけ見えるようにする。
人生の未来は、全部見えないから面白い。
予定通りに進むこともあれば、
思いがけない何かが
転がり込んでくることもある。
さあ、今日はどんな一日になるのだろう。
まずは家族の隣に座って、
一時間半の道を行こう。
もしかしたらその途中にも、
神様のポケットの小さなほころびから、
予定表には書かれていない何かが、
ころりと落ちてくるかもしれない。
二つの未来の地図✨
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