焦る私にとどめを刺すように、
パトカーのサイレンのような音が響いた。
前の車が次々と左へ寄って停車する。
え?
もしかして事故?
もう終わった。
そう思ったけれど、どうやら故障車だった。
それでもしばらく停車は続き、
苛立ちはさらに募る。
でも、10時半には絶対に
会社へ行かなければならない。
これ以上遅らせることも
できなくはないけれど、
それはさすがにやりすぎだろう。
家族が急病というわけでもなく、
ただ運転練習に
付き合っていただけなのだから。
諦めたような、まだ諦めきれないような。
それでも予定に
しぶとくぶら下がっているような
気持ちでいたけれど、
思ったほど時間はかからず、
すんなり通過することができた。
家がもう間近というところで、
家族がようやく「時間、大丈夫?」と
聞いてくれた。
その言葉を聞いて、ふと思った。
そうか。
やっぱり家族は私ではないんだ。
私には私の時間があり、
家族には家族の時間がある。
私ならこうする。
だからあなたも
そうするのが当たり前でしょう、
と決めつけるのはやっぱりよくない。
会社でも、
私はよく同じことを注意されてきた。
「私はここまでできるんだから、
あなたたちだってできるでしょう」
そんな自分の物差しで
人を見てしまう口調を、
先輩に何度もたしなめられた。
今でもまだ直っていないのね。
気をつけよう。
家族には家族のリズムがある。
私には私のリズムがある。
今日はその二つの時間が、
たまたま運転練習の中で重なっただけ。
だから、その後の予定が気になって
イライラしたとしても、
一度引き受けたことは最後まで付き合おう。
どうせやってあげるなら、気持ちよく。
すると家族が、
「車は一人で置いてくるから、
玄関の前で降ろしてあげる」
と言ってくれた。
心の中では、
もう少し早くその気遣いがあれば……
と思ったけれど、
これも家族のペースなのだろう。
パパッと着替えて、
パパッとメイクを済ませれば、
なんとか10時半には間に合いそう。
今日は先週の会議のように、
特に私の出番があるわけではない。
聞くだけでいい。
そっと会議室に入って、
影を薄くして座っていよう。
間違っても、
手を挙げて質問なんてしないでおこう。
それにしても、また朝からバタバタした。
何か忘れていそうな気もする。
どこかで一度、今日の予定だけでなく、
持ち物や準備するものまで
頭の中で確認しておきたい。
やっぱり、今日これからの未来の地図を
もう一度描かないといけないかなあ。
でも、その地図を描いている時間は
会議中しかなさそうだ。
紙を広げるわけにもいかない。
ならば今日は、頭の中に未来の地図を描こう。
それぞれの時間、頭の中の未来の地図✨
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