長い一日が終わろうとしている。
今日も私は、
自分の力で一日を動かそうとしていた。
時間を組み立て、先を読み、
頭の中には未来の地図まで描いた。
次はここ、その次はあそこ。
立ち止まっている暇なんてない。
そんなふうに今日を前へ前へと進めながら、
きっと私は、
自分が一日を動かしているつもりだった。
でも夜になって、少し違うことを思った。
私は今日を動かしていたのではなく、
今日という時間の中で、
たくさんのものに
動かしてもらっていたのかもしれない。
誰かが私の話に耳を傾けてくれたこと。
私を魅て笑ってくれたこと。
言葉をかけてもらえたこと。
そして、誰かの人生から生まれた言葉が、
私の心へすっと入ってきたこと。
生きていることは、当たり前ではない。
その一言を受け取ったとき、
朝から懸命に走ってきた自分を、
少し離れたところから魅たような気がした。
私は今日も、自分の足で歩いた。
でも、その道を歩けることさえ、
当たり前ではないのだ。
そう思ったら、
いつもなら腹を立て続けて
いたかもしれない小さな出来事まで、
なんだかどうでもよくなった。
失ったものを数えるより、
今日いただいたものの方が、ずっと多かった。
笑顔をいただいた。
拍手をいただいた。
言葉をいただいた。
ご縁をいただいた。
そして私は私で、
誰かのために時間を使い、
考え、
言葉を差し出した。
不思議だ。
人のために使ったはずの時間なのに、
最後にいちばん満たされていたのは私だった。
忘己利他。
今日聞いたその言葉は、
まだ私の中で芽を出したばかり。
でも、少しだけわかるような気がする。
自分を後回しにするということではない。
誰かのために差し出したものが巡り、
思いがけない形で
自分の心まで豊かにしてくれる。
そんな循環の中に、
自分も生かされているという
ことなのかもしれない。
今日の私の物語も、
そろそろ最終章に入ろうとしている。
窓の外では雨が降っている。
朝なら、ただの雨だったかもしれない。
今は違う。
街も、木々も、山も、そして私も、
同じ雨に潤されている。
ああ、そうか。
朝、神様のポケットを覗きたかった私に、
神様は一日かけて答えをくれたのだ。
ポケットに入っていたのは、
特別な何かではなかった。
今日、私がいただいたすべてだった。
今日一日、
最後のページは何という言葉で
締めくくろうか。
たぶん今夜は、これでいい。
人のために差し出したものは、
巡り巡って、自分の心を潤す雫になる。
そしてその雫を胸に抱いたまま、
今日のページを静かに閉じよう。
神様のポケットに入っていたもの✨
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