心のサンクチュアリーをあとにしたとき、
私の胸には
小さな炎が灯っていた。
絶やさないこと。
続けること。
自分より先に、誰かを思うこと。
そんな教えを炎からひとつもらって、
今日という道を歩き始めた。
いつの間にか、また雨が降っていた。
傘を広げようかと思ったけれど、
今日は濡れてもいい気がした。
そして帰り道、
私はまた、あのピンクの花に出逢った。
今朝まで名前さえ知らなかった花。
かわいいね。
最初は、それだけだった。
けれどあなたは、
小さな花びらの奥に
二つの言葉を隠していた。
油断大敵。そして、たくましい精神。
たった二つの言葉なのに、
私はその前に立ちながら、
これまで歩いてきた人生を
少し旅したような気がした。
用心していても転ぶことはある。
思いがけない雨に
濡れることだってある。
それでも、
その場所でもう一度立ち上がり、
ひとつ、またひとつと
花を咲かせればいい。
私は花の名前をあまり知らない。
育てることも上手ではない。
それでも花が好き。
花が美しいからだけではない。
一輪の花を魅たとき、
私の心に生まれるものが好きなのだ。
だからお墓に供える花も、
決まりごとより、
その日の私の心が選んだ花を届けたい。
たとえ棘のある薔薇でも、
今日の私の心がその花なら、
私はその一輪を選ぶ。
そして今日、
思い出の部屋の
すぐそばに咲いていたあなたを、
私は心の中でそっと一輪摘んだ。
ここに置いていくね。
そう言って、見えない花を供えた。
これから私は
この道を通るたび、
あなたを魅るたび、
きっと思い出す。
感謝できているだろうか。
ありがとうと言えているだろうか。
自分のためだけではなく、
誰かのためにできているだろうか。
そしてまた、
自分の歩いてきた道を振り返り、
新しい一歩を踏み出すのだろう。
もしかしたら、あなたは
あの消えない灯の化身なのかもしれない。
仏様が、「忘れないでね」と、
少し厳しい教えを
そのまま渡すのはやめて、
かわいらしいピンク色に包んで、
そっとこの道へ
置いてくれたのかもしれない。
仏様のポケットからこぼれ落ちた、
今日の私への
小さなプレゼント。
だから私は、
あなたの名前を忘れても、
あなたが今日
私の心に灯してくれたものだけは、
きっと忘れない。
仏様のポケットから、ピンクの花🌸
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