雨の街が好きだ。

雨音が好き。
雫をまとい、
艶やかな深い色を魅せる木々が好き。
乾いていた心まで潤ったように
魅える街並みが好き。

そして私は昔から、
水面に映るものを魅るのが好きだった。

今朝、水たまりに一粒の雨が落ちた。
ぽつん。
そこから波紋が生まれた。
また一粒。
また一つ。

いくつもの輪が広がって、
重なり、
やがて見えなくなっていく。

そのとき、ふと思った。
波紋って、私の心模様なのかもしれない。

私は毎日、小さな感動を一粒ずつ拾っている。光。
風。
花。
雲。
人の言葉。
それらが一滴ずつ心へ落ち、
そのたびに小さな波紋をつくる。

そしていつか見えなくなる。
でも、消えたのではない。
心の中へ染み込んだのだ。
だからまた余白が生まれ、
そこへ次の一滴が落ちる。

そんなことに気づいた今朝、
私の心は不思議なくらい透き通っていた。
「水のように生きたい」
ずっとそう思いながら、
忙しさの中では、
その意味を忘れていたのかもしれない。

でも風さんと語りながら朝を歩くようになり、
心の底に沈んでいたものが、
少しずつ水面へ浮かんできた。
そして、自分のごつごつした角が
少しずつ取れていくのも感じるようになった。

自分の道を持つことと、
頑固になることは違う。
私は私の未来へ向かって歩く。
でも、周りを見る。
必要なら地図を修正する。
心が変われば、また描き直す。

水だってそうだ。
岩に出逢えば避ける。
流れが緩めばゆっくり進む。
激しい雨に打たれる日もある。
大きな岩にぶつかり、
跳ね返されることだってある。
それでも水は、
その場所に合わせて姿を変えながら、
遠い海へ向かって流れていく。

今まで私が思っていた「一直線」は、
決めたらただ突っ走る道だった。
でも今は違う。
私の一直線は、
自分で何度でも描き直せる道になった。

寄り道したっていい。
曲がったっていい。
立ち止まったっていい。
また流れ始めればいい。

私は私の未来へ向かって、
私の道を、
水のように歩く。
そして、その道は
いつでも描き直せる。