長い一日が終わろうとしている。
21時頃、ふと目が覚めた。
2時間近く眠れたことは嬉しい。
でも眠れたということは、
その間お仕事がなかったということでもある。
嬉しいのか、悲しいのか。
休めた身体と、少し寂しい心。
どちらか一つを選ぶことのできない
複雑な気持ちを抱えながら、
最後のドアが開くのを待った。
けれど、今日もそのドアは開かなかった。
外では冷たい風が吹いている。
その冷たさを思うと、
残念な気持ちまで少し身にしみた。
けれど、今日という一日を振り返ると、
不思議と心は寂しさだけでは
満たされていなかった。
今日の私の心には、
朝から「余白」があった。
その余白に、いろいろなものが入ってきた。
久しぶりに逢えた人の温もり。
「可愛い」と言われ、頭を撫でてもらい、
女の子に戻ったように甘えた時間。
別れたあとには風さんがやってきて、
その温もりを引き継ぐように
私を包んでくれた。
そして夕暮れ。
赤銅色の空を魅ていると、
一羽の大きな鳥のような雲が現れた。
孔雀?
火の鳥?
ほんの一瞬、
心の中をいくつもの姿が駆け抜けて、
最後にたどり着いた。
朱雀。
その名前が、遠い記憶の扉を開いた。
昔夢中になった『太王四神記』から、
最近歩いたジグザグ中華街へ。
朱雀門、玄武門、そして青龍、白虎へ。
別々にしまわれていた記憶がつながり、
新しい色をまとって輝き始めた。
気づけば一時間。
私は日記を書いていただけではなかった。
心の中で、
遠い昔から今日までを旅していたのだ。
もし心に余白がなかったら、
あの雲はただの雲だったかもしれない。
すぐに答えを決めず、
風や雲と遊べる余白があったから、
記憶が入り込み、昔と今がつながった。
そして今思う。
最後のドアが開かなかったことも、
無理に何かで埋めなくていいのかもしれない。
少し残念だった。
でも眠れて嬉しかった。
寂しかった。
でも心は満たされてもいた。
相反する気持ちを
そのまま置いておける場所も、
きっと心の余白なのだろう。
今日一日の私の物語も、
いよいよ最終章へと入った。
今日の最後のページは、
開かなかったドアの前では終わらない。
朱雀の赤銅色も、
誰かの温もりも、
風さんの声も、
小さな寂しさも、
全部今日の心に残しておこう。
そして、明日のための余白を一つ残して眠ろう。
今日の最後のページは――
その余白に、
明日はどんな風景が入ってくるのだろう。
冷たい風の向こうに、今日の余白を残して
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