ホテルからの帰り道、
あなたとの甘い時間の余韻を感じながら、
風さんに包まれて、
いつもの場所で日記を書いていた。
すると、メールの着信音。

確認すると、お仕事が入ったみたい。
ホテルの場所は、
いつもの大通り公園のあたりとは少し違う。
最近あまり行っていなかったから、
一瞬、どうやって行くんだったかな、
と考えた。

日記をアップして、
紺色のバスタオルショールを
腕でぐっとつかむ。
今日は寒い。
体を冷やさないようにしながら、
伊勢佐木モールを歩き始めた。
いつの間にか、外はもう暗くなっていた。

でも、まだ19時少し前。
お店はたくさん開いていて、
色とりどりのネオンが
夜の商店街を照らしている。
こんな時間の伊勢佐木モールを見ることって、
なかなかないもんね。

赤、青、黄色、白。
キラキラと光る街の色につられるように、
私の心まで少し賑やかになっていく。
足取りも弾んでいた。

そして、次のドアが開きました。
そこにいたのは、
優しく穏やかな笑顔が素敵なあなたでした。

「わあ、すごくお久しぶり」
そういえば、
以前お逢いしたのもこのホテルだったね。
でも、あの頃はまだ改装前だった。

「このホテル、
なかなか綺麗になったと思いませんか」
「そうだな。これならなかなかいいな」
久しぶりにお逢いしたというのに、
二人でまずホテルの室内を
吟味していることがおかしくて、
思わず笑ってしまった。

あなたの隣に腰をかけ、
そっと寄り掛かる。
「本当にお久しぶり。
覚えていてくださって嬉しい。
また逢いに来てくださって嬉しいわ」

そして、抱きしめ合った。
その瞬間、ずっと以前、
あなたに初めてお逢いしたた頃の記憶が、
目の前を
すっと駆け巡ったような気がした。

私からあなたへ触れる。
ゆっくり、ゆっくり。
優しく、心を込めて。

そして、あなたから私へ。
あなたの温かなぬくもりが私へ伝わってくる。
それがとても嬉しかった。
触れていたのはぬくもりだけではなく、
その奥にある、
あなたの温かなお心だったのかもしれない。

「今度はお酒、
もう少しだけ減らしてね」
最後はそんなことを言って、二人で笑った。

「また来るよ」その言葉が嬉しかった。
だから私は、
そのひと言をそっと胸の奥にしまった。

またいつか、
あなたが逢いに来てくださる日を待つための、
小さな約束のように。

あなたとお別れして、夜風の中へ出た。
歩きながら、ふと思う。

朝、心に浮かんだこと。
人と人とのつながりは、
決して逢った回数だけではないのだということ。

お互いが少しずつ歩み寄ること。
寄り添うこと。
心を開くこと。
そして、相手の気持ちをわかろうとすること。
きっと、そこから心と心を結ぶものが
生まれていく。

夜の伊勢佐木モールには、
色とりどりの灯が輝いていた。
人の心も同じなのかもしれない。

赤い心もある。
青い心もある。
柔らかな黄色も、
静かな白もある。
みんな違う色を持っている。

だからこそ、その色を知ろうとすることが、
誰かとつながるということなのかもしれない。
そんなことを考えながら、
夜風の中を歩いていった。

「風さん、終わったわよ」
「お疲れさま。
あなたが手に持っているのは何?」
「うん、これ?
ホテルからもらってきたうまい棒。
なんだか久しぶりに食べたら、
すごくおいしかったの。
だから帰りにもう1本もらってきた」
うふふ。

色とりどりの心について
考えていた夜の終わり。
私の手の中には、うまい棒が1本。
そんな少し可笑しくて、
なんとも私らしい余韻を連れて、
夜はまだ、静かに続いている。