いつの間にか海に着いていた。

ぼーっ――。

汽笛が響く。

ひとつ、またひとつ。

いくつもの音が重なり、
やがてハーモニーのようになって
海を渡っていった。

まるで、これから始まる時間の前奏曲。

水面もゆらゆら揺れている。
いや、今日は踊っているように魅えた。
空は曇っている。
白っぽい雲を背景に、
大小さまざまなグレーの雲が浮かんでいた。

なのに今朝の私には、
その一つひとつがハートに魅える。

心模様とは不思議なもの。

空がハートを描いたのではない。
私の心が、空にハートを魅つけている。

まだ何も始まっていない。
楽しみにしている時間は、もう少し先。

それなのに、
その時間を思うだけで心が震える。

ときめき。
胸キュン。
心躍る。

どれも少し違う。

そうか。
心が、未来に恋をしている。
まだ訪れていない時間へ、
心だけが先に飛んでいってしまったのだ。

本物の空には、
まだピンクゴールドの光は見えない。
でも私の心の空には、もう陽が昇っている。

その光が、
雲に浮かんだハートを一つ、
また一つ、
ピンクゴールドに染めていく。

今朝の空の実況中継。

それは、そのまま私の心模様だった。