久しぶりに傘を持たず、
ゆっくりとウォーミングアップをした。

屈伸をして、足を伸ばして、関節をぐいぐい。

ずっと雨続きで怠けていた身体の節々が、
ポリポリと音を立てながら
「気持ちいい」と言っているようだった。

巡り木のふたりを見上げる。
モチおじさんは、まだ眠そう。
でも、なぞちゃんは妙に明るく魅えた。

今日は何か楽しみなことでもあるの?
そう問いかけながら、ふと思った。

あら。

今日の私と同じじゃない。

一歩、二歩。

歩き始めると同時に、
冷たい風がふわりと頬を撫でた。

あ、風さん。

おはよう。

返事をするように、もう一度ふわり。

今朝もこうして、私の一日が動き始めた。
途中、強い風に吹かれながら、
忘れ物を
預かってもらっていることを思い出した。

一度は「また買えばいい」と
諦めようとしたもの。

でも電話一本かけてみたら、
ちゃんと私を待っていてくれることになった。

ほんの些細なこと。

けれど、そこから一つ気づいた。

思うだけなら簡単。
あとから「あのとき、こうすればよかった」
と思うのも簡単。

でも人生を少し動かすのは、
そのときの一つの決意と、
それを行動に移すこと。

電話をする。
足を運ぶ。
気づいたら、やってみる。

そんな小さな積み重ねの先に、
思いがけない贈り物が待っていることもある。

今日は私にも、
楽しみにしている時間がある。

なぞちゃん。

もしかして、あなたもなの?

そんなことを思いながら見上げると、
やっぱり今朝のなぞちゃんは、
いつもより少し嬉しそうに魅えた。