そんな白い、白い、
白の魂に触れたとき——
私の心が、きらっと輝いたような気がした。
そして、その心模様が
そのまま映し出されたかのように、
空にも光が差した。
雲と雲の間。
重なっていた雲が少しずつほどけ、
細い隙間が生まれてゆく。
そこから、ひと筋の光。
ああ、この光。
この形。昨日の朝と同じ。
——朱雀。
雲の中に、大きく翼を広げる姿が魅えた。
そして、その傍らには龍。
青龍。
二つの姿が、
光をまといながら空を駆け巡っている。
昨日は、私が四神を探して歩いた。
今朝は違う。
探していないのに、
向こうから私の心へ現れてくれる。
東には青龍。
南には朱雀。
西には白虎。
北には玄武。
そうか。
私の東西南北には、いつだって四神がいる。
どちらへ歩こうか迷う朝も、
どちらが前なのかわからなくなる日も、
心の中にはちゃんと四つの方角がある。
そんな四神に見守られながら、
私はまっすぐ自分の道を歩いていた。
大さん橋。
その先にある、
私の心のサンクチュアリーを目指して。
もう何かを探しながら
歩いているわけではない。
見つけなくちゃ。
感じなくちゃ。
答えを出さなくちゃ。
そんなものは、
今朝の風さんが全部さらっていってくれた。
ただ、まっすぐ歩けばいい。
シュッ、シュッ、シュッ。
乾いた桟橋を踏みしめる私の足音が耳に響く。
足元には木の温もり。
その向こうからは、
ときおり、どっしりとこの場所を支える
金属の響きが伝わってくる。
ヒューッ。
進む方向から強い風が真正面に吹きつける。
そして雨。
ぽつり。
ぽつり。
頬に落ちた雫を、
また風さんがさらっていった。冷たい。
寒い。それなのに——
私の心は温かかった。
ふわふわの白い心には、淡い緑。
そのもっと奥には、
今朝しまった深紅の光が、
消えることなく静かに灯っている。
鳥たちの声も聞こえる。
いつもなら少し賑やかすぎると思う
その声さえ、
今朝は癒やしの音楽。
カン、カン——。
旗を掲げるポールに、
風で揺れたロープが当たる金属音。
まるで鐘。
朝の目覚めを告げる鐘。
今日という一日の始まりを知らせる鐘。
ふと遠くへ目をやった。
空高く伸びる二つの建物。
そこに四つの光が、
まるでトランプの「4」のように並び、
点いては消えている。
いつも見ているはずなのに。
こんなふうに、
その光が心へ飛び込んできたことが
あっただろうか。
点いて、消えて。
また、点いて。
まるでモールス信号。
——いつも見ているよ。
そんな言葉を送ってくれているように魅えた。
ああ。これはもしかしたら、
四神の朝のつぶやきなのかもしれない。
朱雀。
白虎。
玄武。
青龍。
四つの光。
誰かに見守られている。
何かに支えられている。
その思いが、
私の歩みをさらに確かなものにしてくれる。
見上げれば、朱雀が翼を広げる。
青龍が空を駆ける。
白虎が大地を走る。
玄武が静かに私を支える。
そんな光景を、
私は心のサンクチュアリーで魅ていた。
すると突然、
ひとつの文字が心に浮かんだ。
——人。
以前「一筆入魂」で書いた、あの一文字。
人という字は、
二本の線が互いに支え合うように立っている。
そうか。
今朝の私も、
ひとりで強く立っているわけではない。
支えてくれるものがあるから。
信じられるものがあるから。
そして私もまた、
誰かを支えながら生きているから。
だから今日、私はまっすぐ立っていられる。
大きな風の中、
私の一日はまだ始まったばかり。
今日は、
どんな素敵な出逢いが待っているのだろう。
どんな温かな心との触れ合いが
待っているのだろう。
そして一日の終わり、
私の心には何が残っているのだろう。
そんな期待で、今の私は満たされていた。
心にあるのは、やっぱり緑。
そこへ朱雀の赤が差し、
青龍の青が流れ、
玄武の黒が静かに重なる。
そして白虎の白。
最後に朝のピンクゴールドの光が、
それぞれの色をそっと包み込み、
輝かせている。
どの色も消さない。
どの色も奪わない。
それぞれの色を、それぞれのままに。
私もきっと、そうありたい。
いろんな色に出逢い、
いろんな色を心に重ねながら、
それでも私自身の色を失わずに。
四神に見守られ、
風さんに背中を押されながら——
今日という、まだ見ぬ一日へ。
私はまた、まっすぐ歩き始めた。
四神、朝を照らす✨
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